第32号目の今回はニュースレタープラットフォームのbeehiiv。かなり人気のプラットフォームだから、使わなくてもただそれを知ることだけでもクリエイターにとって学びがある。
これはコンテンツのクリエイター、課金モデルを成り立たせたい人に向けて書いている。
個人でニュースレターの運営事例を毎回ひとつとりあげ、そのコンテンツを徹底的に調べてビジネスモデルの仕組みから、なぜそんなにウケているのか、を独自分析してレポートする。あなたがクリエイターならとても参考になるはず。
前回の記事で「Voicyの音声配信もうすぐ一旦休止します」と書いたのだが、まだ休止せずに続いている。その理由は単純。
めちゃくちゃいい音声の引用をいろんな方に入れていただいているので、返答せずに休むわけにいかなくなってるから。
このチャネルはリスナーからの「声の引用」で成り立っている
毎日配信をしたとしてもそこまでネタを考える必要なく、いろいろと多彩なコンテンツが並ぶのでやって良かったと思っている。しかし(とてもありがたいことに!)次々にいいご意見をいただくので一旦休止するタイミングを逃してしまっている。
ちょうどこの記事がメールで届くころには「音声配信を伸ばす戦略についての濃い話をラグビーさんの配信から引用した話」が出ているはず。これこそまさにこの「声の引用」によって成り立った例になっている。
ぜひ聴いてみてください。かなり濃いけど、音声配信に興味ある方なら楽しんでいただけるはず。
https://r.voicy.jp/W6mG7gGEmyA
英語圏で人気を獲得しているニュースレターばかりを集中して調べていると「最近、beehiivで運営しているケースが増えたな」と思うことが度々ある。
ニュースレターというメディア形式はその特徴から1つのプラットフォームが寡占することはなく、様々なプラットフォームが乱立している。
この「【週間】1万ドル以上を稼ぐ個人サブスクメディアを徹底的に分析したらこうなった」は現在はサブスタックで運営していて、近日中には「みんなのニュースレター」に移行する予定。
現在のところは英語圏でもっとも広く使われているニュースレタープラットフォームはサブスタックになるだろう。しかしトップ層に限って言えばそうとも言えなくなってきている。
そのひとつがbeehiivになる。
ニュースレターの発行者は全ての購読者メールアドレスを握っている。そのプラットフォームから移行したとしても取りこぼすことなく、まったく同じ状態での配信が可能になる。これがニュースレタープラットフォームの世界がたったひとつに寡占されることなく乱立する理由だろう。
ちょうど先月(2023年6月)にbeehiivはシリーズAで12Mドルの資金調達を行った。経営状態と今後の見通しを評価されたのが理由だろう。
先行している他のプラットフォームと比較すると後追いにはなっているが、まだまだ追い越すチャンスがあるのを投資家達も感じているはず。
正直に言って私はbeehiivのファンでもなんでもない。ここで紹介する目的はただひとつ。「いいニュースレターにするためにプラットフォームの戦略を分析すること」じっくり見ていくと、後追いのbeehiivではあるが一定の層に熱く支持される理由も分かってくる。
サブスタックに関してはそのビジネスモデルからニュースレター初心者の最初のステップとしてだけに使われるケースが多いと感じている。
サブスタックの課金は無料のニュースレターを発行している限りはどこまで行っても発行者はプラットフォームにお金を支払う必要はない。料金が発生するのは有料ニュースレターを発行して収益が発生した場合のみ。そこから%でサブスタックに支払う形式。
ニュースレターをはじめたばかりの発行者にはとても優しくて使い勝手のいいプラットフォームになるだろう。儲けの無い期間はほとんど無料で、収益が発生したとしてもそこから%で支払えばいいだけだからだ。
しかしニュースレターのトップ層の稼ぎはそんな数ドルでは済まない。かなりの高額の収益になってくると、その%で取られるととんでもない額になってくる。そこを攻めてきているのが非サブスタックプラットフォームになる。
例えば今回分析したbeehiivにしても最初の2500通/月までは無料。その後は配信数やサービス内容に従って固定課金された形式になっている。
つまりどれほど巨額の収益が発生したとしてもbeehiivに支払う額は固定で月額42ドルとか84ドルだけになっている。
しかしそれでもトップクリエイターがそんな課金体系だけでニュースレタープラットフォームを利用する、なんて単純な理屈は通じない。それはそれ相応の各プラットフォーム毎の魅力が存在する。
beehiivの有料プランには発行者がカンタンに導入できる紹介プログラムがある。ニュースレター運営において紹介プログラムはものすごい起爆剤になる。そしてbeehiivの経営陣はそれをトコトンまで熟知している。
なぜならCEOであり創業者のTyler Denk氏はあのモーニングブリューの立ち上げにCTOとして参画し、購読者ゼロから400万人まで伸ばした人物なのだから。
モーニングブリューというニュースレターに関しては以前にこちらの記事「無名の個人が発行したニュースレターがアメリカの金融Z世代の誰もが知るほど有名になるまで」で解説したので、見てみてください。
モーニングブリューの成功要因のひとつとして紹介プログラムがあった。つまり購読者が「モーニングブリューっていいよ。このリンクで購読してみたら?」と他の誰かに紹介して、それが新規購読につながると紹介元の方に特典がある仕組み。
言ってみれば単純な仕組みではあるが、これが細かい部分の微調整が必須でなかなかカンタンではない。
それをTyler Denk氏のような豊富な経験を持った人がデザインした紹介プログラムがボタンひとつで実装できるのがbeehiivの強みになっている。
通常の紹介プログラムであれば「1件紹介すればなんぼ」という単純な仕組みが多い。しかしbeehiivがデフォルトで実装している紹介プログラムは段階的な紹介プログラムだ。
つまり1件目を紹介した時の特典よりも5件紹介した方が豪華になる。15件、30件となるともっと豪華になる仕組み。これこそがモーニングブリューで成功してきた仕組みなのだろう。
様々なニュースレタープラットフォームが乱立しているのは確かな話し。とにかくできる限り調べていい部分があれば全て「みんなのニュースレター」に吸収するつもり。
以前から「もうすぐ公開!」とか言いながらなかなかコーディングが進んでいない。できるだけがんばります。
ということで今回の記事はこれにて終了。
このニュースレターでは常時みなさんからのご意見とご質問を募集しています。
いつも発信を参考にさせて頂いています。
海外の連続ツイートを見ているのですが、「ストーリーテリング」を教えている人がかなり多いように感じます。
日本ではストーリーテリングを教える人なんていないと思うのですが、海外ではなぜストーリーテリングが流行?しているのでしょうか? 重要視されているということでしょうか?
いいご質問ありがとうございます。
ちょうどネテロさんが「世界で最もパワフルな人は物語を語るストーリーテラー」というnote記事で書かれていますね。
note記事からの引用
ストーリーテリングとは結局、コミュニケーションにおいて、あなたの話に人を引き込む技術です ー ネテロ
まさにこの通りで私の実感では日本にも多くの方がストーリーテリングを教えているような気がしています。ただ言葉として「ストーリーテリング」と言ってないだけのような。
とにかくメッセージを物語の中に織り込んで伝える技術はここ最近のトレンドなんかではなく、ずっと以前から人類がやってきたことですし。SNSにおけるプラットフォームがどんなに変わったとしても、そこで人は物語を語り続けるのだと思っています。
他にもたくさんご質問とご感想をお待ちしています。ぜひください。
あなたがクリエイターで少しでもニュースレターの発行を考えているのなら、ぜひこの「【週間】1万ドル以上を稼ぐ個人サブスクメディアを徹底的に分析したらこうなった」を購読してください。あらゆるノウハウを詰め込んでます。きっと参考になるはず。
ではまた次回の月曜日の朝にお会いしましょう。まだ未購読の方はまた次回に会うために購読が必要ですよ!