user【週刊】1万ドル以上を稼ぐニュースレターを徹底的に分析したらこうなったsearch
無名の個人が発行したニュースレターがアメリカの金融Z世代の誰もが知るほど有名になるまで
【第9号】どんな人気のニュースレターも創刊第1号から大人気な訳がなく、全てはゼロからはじまる。その後、有名になっていく過程を追いかけると人気の秘密が分かってくる。
like
user
ジャバ・ザ・ハットリ
2023/02/13

第9号目の今回はアメリカで金融業界を目指すZ世代ならほぼ誰でも知っている超人気のニュースレターを事例としてとりあげた。そこまでの人気を獲得する過程を紐解いていくと、多くの学びがあることに気がついた。

このニュースレターはコンテンツのクリエイター、自分のファンを得たい人、課金モデルを成り立たせたい人に向けて書いている。

個人でニュースレターの運営に成功している例を毎回ひとつとりあげ、そのコンテンツを徹底的に調べてビジネスモデルの仕組みから、なぜそんなにウケているのか、を独自分析してレポートする。あなたがクリエイターの方ならとても参考になるはず。


👫 もくじ

  1. ニュースレターはまず企画が運命を決める
  2. イケてるコンテンツだから売れるとは限らない
  3. いいニュースレターは一瞬で企画の良さが伝わる
  4. 【他人のニュースレターを勝手に分析】無名の個人が発行したニュースレターが金融界の誰もが知るようになるまで
  5. 著者は投資銀行に勤める若手社員
  6. 毎日届く金融ニュースの要約
  7. ありそうで無かった読者のニーズを満たす
  8. 話しかけるような文体
  9. まず口コミ
  10. 新参者ゆえに大胆さがある
  11. 金払いのいい有料顧客の獲得
  12. 洗練された紹介プログラム
  13. みなさんからのご質問と回答
    1. 匿名のコメント(マシュマロから)
    2. 匿名のコメント2(マシュマロから)
  14. あなたがクリエイターならぜひ購読



🍉 ニュースレターはまず企画が運命を決める

1万ドル以上を稼ぐ個人サブスクメディアを徹底的に分析したらこうなった」なんてタイトルで毎週レポートを書いているので、かなりの量のニュースレターを読むことになった。基本的には超人気のニュースレターを探して読んでいるのだが、逆にイマイチなニュースレターというのもいろいろと目につく。

イマイチというのは人気が無くて発刊から1ヶ月たらずで止まってしまったようなもの。ほとんどのニュースレターは購読者を十分には得られずに衰退してしまう。ニュースレターは最初にジェットエンジンを吹かして滑走路を走って離陸しようとする時期が最も難しい。

そうした更新が止まって衰退してしまったニュースレターを見ていくとある共通点がある。そのほとんどのコンテンツ内容がわりと高品質でイケてるのだ。ダメなのって少ないし、それらのコンテンツが実は面白い。

誰でもなにかを始める時は気合が入っているし「ニュースレターはじめるぞ!」となった人が創刊代1号からしょぼいコンテンツを出すようなことはしない。まず渾身のを出す。


🐊 イケてるコンテンツだから売れるとは限らない

実はそうしたニュースレターのコンテンツはイケてるのに、それを統合する企画内容がイマイチなのだ。読者ターゲットは誰でどんなテーマを出すのか、というのがタイトルからもコンテンツからも企画の魅力が伝わってこない。

きっとブログだったらそこまで企画内容を練らなくてもOkだった。ブログは全体の企画ではなく、それぞれの記事やひとつひとつのコンテンツ勝負だからだ。

ニュースレターはまず想定されるターゲットの読者にその企画に対して「これはいい企画だ!」となって継続的に購読してもらわなくてはならない。つまり「この記事がいい」と「この企画がいい」を区別しなければならない。

  • 記事がいい!
    • 個別の記事を単体で気に入ること
    • シェアやバズにつながる
  • 企画がいい!
    • テーマや継続的に打ち出す全体内容に共感すること
    • 購読につながる

仮にひとつのコンテンツがクリーンヒットして場外ホームランを叩き出しても、全体の企画が刺さっていなければ購読には至らない。せいぜいその記事をブックマークして終わりだ。


👯‍♂️ いいニュースレターは一瞬で企画の良さが伝わる


人気があってすごい収益を上げているニュースレターからは一瞬で企画内容が伝わるし、それを理解した時にビビっとくる。「この企画いいぞー!」と感じるのだ。

いつも書いている分析レポートでもいいニュースレターほどその概要説明がとてもカンタン。「この読者ターゲットは〇〇で、内容は〇〇です」ってのを読み解くのに時間がかからないし、それを知った瞬間に「この企画だったら売れるだろうなー」というのをヒシヒシと感じる。


もしあなたがニュースレターの創刊を考えているなら、コンテンツよりも先にぜひその企画内容を熟考することオススメします。


今回の分析レポートはそんなニュースレターの企画内容がいかに重要かを示す例になる。




【他人のニュースレターを勝手に分析】無名の個人が発行したニュースレターが金融界の誰もが知るようになるまで


今回とりあげたのはMorning Brew(モーニングブリュー)。英語圏で金融業界を目指す若い人ならほぼ誰でも知っている超人気のニュースレター。2023年4月時点で購読者数は400万人。ちょっとこれまで紹介してきたニュースレターとは規模感の桁が違う。2020年にビジネス・インサイダー社に80ミリオンで買収されて以降は完全な組織運営になっている。

今となっては組織運営だが、モーニングブリューが創刊された2015年当時はまったくそんなことなく、それは完全なる創業者の個人運営だった。そしてこのモーニングブリューのいいところの全ての種はその個人運営だった頃に撒かれていた。

以下は今のモーニングブリューではなく、2015-2020年のモーニングブリューについてのレポートにした。その方が個人クリエイターの参考になると思った。


😎 著者は投資銀行に勤める若手社員


モーニングブリューは2015年に20代だったアレックス・リーバーマンがごく少数の知り合い向けに個人で作ったニュースレターから始まる。

リーバーマン氏は金融一家に生まれる。お父さんの仕事は金融関係。お母さんの仕事は金融関係。おじいちゃんの仕事は金融関連、家族の全員がウォール・ストリートで働くって環境で育った人。そんな彼もモルガン・スタンレーで職を得て働き出すことになった。働きながら金融界を目指す大学生向けに個人でニュースレターを創刊した。それはメール配信システムを使ったモノではなく、リーバーマン氏が個人のメールボックスから普通のメールと同じく手動で配信する形式だった。

それがだんだんと界隈で人気を博し、どんどん規模が大きくなって現在に至る。


モーニングブリュー創業者のアレックス・リーバーマンさん




🌏 毎日届く金融ニュースの要約

金融業界で働くには当然ながら株価だけをチェックしとけばいい、なんて単純なモンじゃない。それぞれの企業や業界の動きを金融の視点で常にチェックしておかなくてはいけない。そうしたニーズに合うように毎日発行されるモーニングブリューでは主要なニュースを5つほどピックアップして、そこに独自の視点で解説が加わる。

全てのニュースは短くまとまっていてその名の通り朝のコーヒーと共に一気に読めるぐらいの分量になっている。


モーニングブリューのニュースレターはここから読める

https://www.morningbrew.com/archive?v=daily


このリンクから2,3のニュースレターを覗いてみれば、モーニングブリューのコンテンツ内容はだいたいは把握できる。ひょっとしたら「普通のニュースの要約かな?」という月並みの感想になってしまうかもしれない。

しかしモーニングブリューの現在の購読者数は400万人以上。かなり少人数の運営であるにも関わらず相当な売上にもなっている。こんなことが単なる「ニュースの要約」を配信するだけで達成できる訳がない。そこにはそれ相応の戦略があったはず。

以下になぜモーニングブリューがこれほどまでに有名で儲かっているのかの分析レポートを書いた。


🥤 ありそうで無かった読者のニーズを満たす


リーバーマン氏がインタビューで語っていた創刊の経緯が人気の秘密をピタリと言い表していた。彼曰く

「モルガン・スタンレーで新入社員やインターンの採用インタビューの時によくこんな質問をしていたんだ。『金融業界の最新情報をキャッチアップするためにどんなことをしてるの?』って。

そしたらほぼみんな同じ答えなんだ。『ウォール・ストリート・ジャーナルを読んでます』って。いろいろ聞いても全部同じ答え。つまり選択肢が他に無かったんだ。

そして僕もウォール・ストリート・ジャーナルを読んでたから、分かるんだ。あれって情報量がめちゃくちゃに多いし、全部読めてないし、特に若い人の場合ナニが書いてあるのか分かってないのに、ただ読んだ気になってるんだけなんだ。

だから僕がそれを要約して、どういう風にそのニュースを読み解けばいいのかを短く解説したニュースレターを作ったんだ」

世の中にニュースは溢れているし、みんな消費しているし一見すると隙がないように見える。しかし特定のユーザー層に絞って深く掘り下げてみるとぽっかり穴が空いていて、そこにニーズがあることを示すいい例になっている。



💬 話しかけるような文体

モーニングブリューの文体は目の前に若い金融マンが居て、その人が話してることをそのまま文章にしたような文体だ。とにかく読みやすいし、分かりやすい。

その逆にウォール・ストリート・ジャーナルの文体はハッキリ言って小難しい。良く言えば格式の高い文章。普通に言えばカッコつけ過ぎで訳わからん。全てがエリートの金融関係の人に向けた文章で、分かる人にだけ分かればいいんだよ、って感じだ。日本語で言うと日経新聞の文体と思っていただければいい。今の若い人達が日経新聞の文体と量ではナニが書かれていたところであまり読まないだろう。

同じ金融情報は扱っていても、モーニングブリューのように分かりやすい文体と解説のついたニュースレターが登場すれば、それは若い人たちの人気を得て当たり前だ。

同じように話しかけるような文体であっても、それがネットの掲示板であれば話は別。ネットの掲示板は全てが話かける文体で書かれている。珍しくもなんともないしニーズもない。

話しかけるような文体を堅い文体で埋め尽くされている金融情報に応用したところこそが人気の秘密になる。


🐵 まず口コミで広まる

初期のころに購読者獲得を後押ししたのは口コミ。

最初はごく少数のリーバーマン氏の知り合いに向けて、個人的に作ったニュースレターではあったが、その読者がメールを転送する形で他の人にも伝わり、そのうちに多くの人に伝わることになった。

日に日に読者が増えていく様子を眺めているうちにリーバーマン氏も「このニュースレターには深いニーズがある」と思うようになった、と。

いいニュースレターとはそのコンテンツではなく、企画が支持されている。モーニングブリューの内容は当初から基本的にはニュースの要約だ。ある日のニュースの要約がやたらに面白くて他人にオススメする、なんてのは考えにくい。

読者がオススメする時は「これって毎日ニュースの要約を解説が届くニュースレターなんだけど、購読するといいと思うよ」と言っていたはずだ。オススメしたのはひとつの記事ではなく「それを購読して毎日ニュースの要約が届くこと」のメリット。

この辺りに「ひとつの記事や投稿がいかにウケるか」を狙うブログやSNSと、「企画全体がウケるか」を狙うニュースレターの違いを感じる。そしてモーニングブリューは明らかに企画がウケることに成功した例だ。


🎢 新参者ゆえに大胆さがある

リーバーマン氏が個人のメールボックスから発行していた体制をより多くの人に届けるために事業化した際、メンバーはリーバーマン氏とオースティン・リーフ氏の2人体制だった。2人の創業者はどちらも金融界の人でメディア運営の経験はゼロ。


彼らにはまったくメディア運営の知識が無かったことが有利に響いた、と語っている。ひとつの記事の語数は異様に短い。文章の構成方法。当時は主流だった広告によるマネタイズを行わなかったこと。

全てが当時のメディア運営の常識にはそぐわないことばかりだった。なぜなら創業者の2人はそれらのメディア運営の常識を知らなかったから。その代わりに彼らはメールという読者とつながるチャネルを持っていて、フィードバックもそのまま受けていた。

つまり純粋に読者のニーズに応えていったのだ。それが既存のメディアにはない要素を埋める形で人気を博していった。やはり追求するべきは読者の心の底にあるニーズであって、業界の習慣なんかでは決してない。




🦓 金払いのいい有料顧客の獲得

ターゲット読者層はめちゃくちゃにハッキリしている。金融関係に勤めている若手、もしくは勤めようとしている学生やインターン。

基本的に彼らはお金を持っている。若くてそんなに持ってなかったとしても、少なくとも金払いはいい。そうなると何かの有料商材があったとしてもわりと売れる。

モーニングブリューにはいろんな商材がある。例えば金融業界向けの履歴書の書き方や金融のビジネスアナリシス、リーダーシップなどのスキルを学ぶ有料オンラインコース。

おそらくそれらをまったくの新規のお客さんに「こういう有料のオンラインコースがあります。やってもらえますか?」なんて営業しても売るのは大変だろう。

しかしモーニングブリューには毎日メールを送ってしかも読んでくれている購読者がいる。ブランドと信頼が浸透しているので、売るのがかなり楽になる。いつもいいニュースレターを送ってくれるモーニングブリューが作ったオンラインコースなら、ひとつやってみるかな、となって当然だ。


🥘 洗練された紹介プログラム

リーバーマン氏はモーニングブリューがここまでたくさんの読者を獲得できたのは明らかに紹介プログラムのおかげ、と語っている。

モーニングブリューは様々な紹介プログラムが用意されている。例えばある読者が新規の読者を5人紹介すればステッカーが、10人紹介すればコミュニティへの無料参加券が得られる、などだ。

こうした紹介プログラムもスグに出来上がったのではない。何度もいろんな内容を試して、データを取って、やり直してを何百回も繰り返したらしい。確かにそう言われてから、紹介プログラムを注意深く見てみるとこんなにいろんな内容の紹介プログラムを持つニュースレターは初めて見た。

400万人もの購読者を獲得するにはやはりこうした仕組みがあってこそなのだろう。


以上が今回の分析レポートでした。

モーニングブリューのニュースレター



🧐 みなさんからのご質問と回答

このニュースレターでは常時みなさんからのご意見とご質問を募集しています。なにかあればぜひください。


匿名でマシュマロからコメントする



匿名のコメント(マシュマロから)

ニュースレター拝読しています。唯一無二の内容で本当に参考になります。

質問というか取り上げてほしいジャンルなのですが「ビジネスTips」をシェアするニュースレターの成功例はあるのでしょうか。一般的にニュースレターはエッセイやメディア、あるいはすでにご紹介されているようにアーティストや料理人などのエキスパートが多い印象です。ではビジネスの分野で成功している例はあるのか、気になった次第です。


コメントありがとうございます。

今回、ビジネス系ということで「モーニングブリュー」を分析いたしました。ちょっとビジネスTipsという視点からはズレてしまうかもしれませんね。でもビジネスの分野で成功しているニュースレターの最高峰のひとつだと思っています。

私にとっては読者ターゲットの定め方と企画内容がとても参考になりました。ニュースの要約って今では星の数ほどのニュースレターがあるのですが、やり方次第ではまだまだ可能性があるなと思った次第です。

これはビジネスTipsをテーマにした場合でも十分可能性があることを示しているように感じました。ニュースレターをはじめられたらぜひ教えてください!


匿名のコメント2(マシュマロから)

ここまでメルマガを読んできての所感を書き連ねてしまいました。

ニュースレターという分野やキーワードに興味を持っているのが、知的好奇心が高い方や、海外でのビジネス、書き物を収益に繋げるようなことに以前から知識ある方、が多いような印象です。

キャズム理論でいうところの、イノベーターやアーリーアダプターが気になっている感じなのでしょうか。

日本では現状「ブロガー」「エンジニア」「スモールビジネスオーナー」「NFTに興味ある人」「ダイレクトマーケティングに興味がある人」あたりから共感・興味を得られそうな気がします。 そしてこの層は小さそうなので、万単位の多くのユーザー獲得は難しそうだと感じます。

500名でも十分すごいと思うので、購読費用のアンケートをとってみてはいかがでしょうか。このような人は、自分のビジネスに活かせるかという投資的な価値を感じて読んでいると思います。

個人的には、コミュニティはまだなくても良いので、アーカイブが見れて月500〜1000円なら迷わず払いたいです。 日本ではまだニュースレターという言葉やカルチャーを広めるためのインフルエンサー的な人が目立たない状況かもしれません。影響力ある人がニュースレターはいまビジネスチャンスだ、などと拡散された時に広まりそうな気がします。

現状、ジャバさんのニュースレターに共感するコアな読者は集まりつつあると思います。 ただ日本ではまだニュースレターという言葉がまだ新しくて、web3やメタバースのような、ビジネストレンドワード的な立ち位置に来るまでニュースレター分野自体が伸びにくそうです。

マジョリティに広がるタイミングですでにポジションを取れていること、そのときに、マジョリティや初心者にとっても基本的でわかりやすい情報がまとまっていること(ニュースレターの始め方、読む方法など)が、 波がきたときのユーザー獲得には重要そうな気がします。


長文のご感想ありがとうございます!!とても参考になりました。

確かにアンケートでより具体的に読者層を掴むのは重要ですね。今、購読者数がちょうど660人を超えたのですが、最近その伸びる速度が減衰しているので危機感を持ってます。

より読者の方が何を求めていて今後はどんなコンテンツを出すべきかを知ろうと思います。


匿名でコメントできます。ぜひコメントください。


匿名でマシュマロからコメントする





🏌️‍♂️ あなたがクリエイターならぜひ購読

あなたがクリエイターで少しでもニュースレターの発行を考えているのなら、ぜひこの「1万ドル以上を稼ぐ個人サブスクメディアを徹底的に分析したらこうなった」を購読してください。あらゆるニュースレターのノウハウを詰め込んでます。きっと参考になるはず。

ではまた次回の月曜日の朝にお会いしましょう。まだ未購読の方はまた次回に会うために購読が必要ですよ!