第９１回目はクロスプロモーションを取り上げた。

ニュースレターはネット上の情報発信において新しい収益化への道を提示している。それらは必ずしも有料でコンテンツを売ることだけではない。クロスプロモーションもそのひとつ。あなたのニュースレターの購読者が数百人だけだったとしても、かなりの収益化を実現できるかもしれない。

今回は月１回の全編無料公開です。お楽しみください。

個人でニュースレターの運営に成功している例を毎回ひとつとりあげ、それを徹底的に調べてビジネスモデルの仕組みから、なぜそんなにウケているのか、を独自分析してレポートしている。あなたがクリエイターならとても参考になるはず。

🍇 ストラスブールに行ってきた

これは今、フランスのストラスブールで書いている。ドイツとの国境に近い街でドイツとフランスの文化が交わる街。なかなかに興味深い。

🥅 Welcomeメールのカスタマイズ機能

Welcomeメールをカスタマイズできる機能をリリースしました。

みんなのニュースレターから配信されている方はぜひ使ってみてください。Welcomeメールは購読を開始したユーザーが１番最初に受け取るメール。開封率が他のより１０％ほど高い。つまりWelcomeメールは誰もが開けて読む場所。

ぜひここでいいアピールをしてみましょう。

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配信ワークスペース > 記事 > その他 > カスタムEメール　から編集できます。

【他人のニュースレターを勝手に分析】クロスプロモーション

今回取り上げたのはクロスプロモーション。ニュースレターの世界ではわりと常套手段となっている成長戦略。

ひとことで言えば「別のニュースレターを紹介、もしくはリコメンドして購読者を伸ばす方法」。ただ紹介するだけでなく、紹介したら紹介した側からも逆に紹介されることになる。なので単なる「プロモーション」ではなく「

プロモーション」と呼ばれている。

これが決して無視できないほどに効果を発揮している。中にはこのクロスプロモーションだけで数万人規模にまで購読者数を増やす例があったりする。

内容に関しては難しく考える必要はない。AさんのニュースレターでBさんのニュースレター購読をおすすめする。逆もある。ただそれだけ。

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しかし「なるほどじゃあニュースレターを紹介すればいいのか」と言えるほどには単純でないので今回の分析対象にした。

🍄‍🟫 有料のクロスプロモーションサービス

英語圏ではたくさんのクロスプロモーションサービスがある。それらを使えば「購読者ひとりあたり＊＊ドル」とかでお金で購読者数を買うことができる。

ぶっちゃけ私自身もこれがあるなら多少のお金なら払うつもりは十分にある。しかし日本語圏にはそうしたサービスがあまり無いし、利用されてもいない。そもそもニュースレターを発行する配信者のプレイヤー数がそんなに居ないし、クロスプロモーションサービスもそこまで認知されていない。

ニュースレターという新しいメディアに合わせて、マネタイズや集客に対する考え方もアップデートした方が勝ちやすいのでここで紹介することにした。

👶 ブログにはないクロスプロモーション

ブログにはほとんど無かったクロスプロモーションだが、ニュースレターでは誰もがやっている。その理由はニュースレターにはブログのようにSEOでトップを狙う発想が無いから。

例えばブログで転職に関する記事を書いていたらサーチエンジンで「転職」と検索された時により上位に表示されるブログがいい収益を得る。ビッグキーワードでダメなら、それよりちょっと小さなキーワードでかつ競合のいない場所を狙って上位を狙う。なんにしてもブログの競争はその場所で１位を狙う競争のこと。

そんな時に競合に力を貸して有利になってもらっては自分が困ってしまう。どうにかして競合を出し抜くことが基本的な手段だった。するとブログ脳の考え方では「クロスプロモーション？はぁ？そんなことして競合に大事なお客を流してどうなるの？」となる。

しかし本質的にニッチ市場に切り込むニュースレターの運営方法では「ニッチを協力しあって攻めてお互いのパイをデカくする」という発想になっている。

🏋️‍♀️ ConvertKitのクロスプロモーション

ConvertKitにはクロスプロモーション機能がある。

サービスを利用する配信者（購読者を獲得するためにお金を支払う人）はニュースレターリストからプロモーションする候補を選択する。そこでできるだけ自分のニュースレター購読者層と重複しているのを選ぶ。例えば料理をテーマにしたニュースレターでAIをテーマにしたニュースレターを紹介してもらっても購読率は低い。テーマやターゲットができるだけ似通ったのにする。

ConvertKitの他にも同種のサービスはたくさんあって、大手ニュースレタープラットフォームもやっている。

例えばBeehiivは「Boosts」という名でクロスプロモーションサービスを提供している。

🐏 有料広告によるクロスプロモーション

クロスプロモーションサービスを使わなくても、そのまま広告枠を売って紹介するのもある。面白いのはその広告の買い手がバリバリの競合ニュースレターということ。

自分と似ているニュースレターを見つけたら「あなたの記事に私の広告を掲載させてください」と言ってくる。言われた方も拒否することなく積極的に広告を掲載し、依頼主の方にも逆に広告掲載を依頼したりする。

AI系ニュースレターのサイバークロワッサンが正にその例のひとつ。記事内にはたくさんの他のAI系ニュースレターの広告が掲載されている。詳しくはこちらの記事で解説した。

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サイバークロワッサンの広告の例

もう発想としてはマクドナルドに入ったら店内にバーガーキングの広告があったり、トヨタのショールームにテスラの広告があるようなものだろう。そんなことはほぼ無いが、ニュースレターだとある。

🪮 収益化の手段としてのクロスプロモーション

クロスプロモーションは購読者を得るための手段だけではない。配信しているニュースレターからお金を得るための収益化の手段としても機能している。

例えば有料広告やConvertKitのクロスプロモーションに登録しておけば、誰かがあなたのニュースレターに対して「お金を払うからそこで紹介して欲しい！」と言ってくるかもしれない。

それは何万人もの購読者を抱えている巨大なニュースレターだけの販売の場ではない。数百人規模の購読者数であっても十分に収益化が可能になっている。

🦨 収益化においては規模より質が重視される

クロスプロモーションにおいてはとにかく質が重視される。質とは購読者層の質のこと。

例えば１万人の購読者数のニュースレターAと１０００人の購読者数のニュースレターBがあったとする。普通に言えばAの方が１０倍いいとなる。

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ところがクロスプロモーションで収益化をしようとした場合に必ずしてもAがBの１０倍儲かるとはならない。それはあなたがお金を払って購読者を得ようとする立場になって考えてみれば分かる。

Aの購読者数は巨大だが開封率は２０％だけで、クリック率もとても低い。Bは開封率が６０％でクリック率も高い。となると購読者一人当たり３ドルだった時に当然ながらBにクロスプロモーションを依頼することになる。開封率が高く質のいい購読者を抱えている方がいいに決まっている。どんなに数があってもダメなメールリストは利益よりも損害の方がデカい。

この世界では無闇に購読者数だけを伸ばしたニュースレターなんかより、数は少なくともそのテーマに本当に興味をもっている購読者層を持つニュースレターの方が勝つ。

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実際BeehiivのBoostsでは購読者数百人規模のニュースレターからも収益化が成り立っている例がたくさんある。

これは正に量より質が勝つ世界になっている。

🍳 購読者層のデザインという概念

ニュースレターを運営することはそのまま購読者層をデザインすることで、これは他のどんなメディアよりも重要になっている。

購読者層をデザインとはあなたのニュースレターを購読する人たちはどんなテーマに興味を持っていて、どんな人たちなのかを計画すること。それは打ち出すコンテンツから集客方法まで一貫して打ち出すメッセージによって変わる。

言ってみればただそれだけのことだけど本当に難しい。この難しさをしっかり乗り越えると、それが数百人の購読者であったとしても他の配信者からするとぜひとも紹介して欲しい数百人、お金を払ってでも欲しいものになったりする。

⛺ 収益化を担う「みんなのニュースレター」の機能

クロスプロモーションはみんなのニュースレターをご利用いただいている配信者さんたちの最も手軽な収益化方法になると考えている。

つまり今、実装予定でいろいろなサービスを調査しながら内容を考えているところ。なのでご意見ください。なにより現在の「みんなのニュースレター」では無料のリコメンド機能だけをつけていて、それでもかなりの効果が出ている。人によっては毎週「〇〇さんのおすすめにより購読者を獲得しました」という通知が届いていると思う。ここに有料課金の仕組みと配信者さんへ収益が還元する仕組みを入れさえすればそれなりの効果は期待できるはず。

とにかくいろいろとご意見をお聞かせください。

🐼 購読者ひとり獲得にいくら払う？

このサービスで最も肝心なのは購読者の獲得にひとりだいたいいくらぐらいのお金をかけるつもりか、ということ。

私自身だったらこのニュースレターの無料購読者の獲得ならひとり１００円ならスグに払いたい。今スグにでも３万円払って３００人追加したい。有料購読者になればひとり３０００円とかでも「安い！！」と思う。