第29号目の今回はアメリカのバークレー居住者だけに向けた地域限定のニュースレター。地域限定と言ってもバークレーとなると人口はわずかに11万人ほど。規模がものすごく絞られてしまっている。それでも成り立つのがこのニュースレターの面白いところ。
これはコンテンツのクリエイター、課金モデルを成り立たせたい人に向けて書いている。
個人でニュースレターの運営に成功している例を毎回ひとつとりあげ、そのコンテンツを徹底的に調べてビジネスモデルの仕組みから、なぜそんなにウケているのか、を独自分析してレポートする。あなたがクリエイターならとても参考になるはず。
現在サブスタックで運営中の「1万ドル以上を稼ぐ個人サブスクメディアを徹底的に分析したらこうなった」は私が開発して運営するサイト「みんなのニュースレター」に移行する予定。
現在、絶賛開発中。
これは最終的にはサイト名の通り、誰でもカンタンに独自のニュースレターを発行して、そこで集客と課金ができるようになる。
https://jabba.m-newsletter.com/
現在、メール送信部分をコーディング中。この「1万ドル以上を稼ぐ個人サブスク…」は約5000人ちかくの購読者数で、週に1回の配信だと5000 ✕ 4回 で少なくとも20,000通を月に配信することになる。
ほとんどの人にとって「メールを送ることなんて無料でできる」って感覚だと思う。しかし1万件以上になってくるとシステムを組んでお金を払って配信する必要が出てくる。
エラー制御などわりと細かく考えておかないといけなくて、普段は無料で受け取ってるニュースレターも裏側ではこんな苦労があるんだな、と自覚することになった。
今回取り上げたのはThe Berkeley Scanner(バークレー スキャナー)。アメリカのバークレーという街で起きた犯罪と治安に関するニュースを事件が起きたそのスグ後にメールで送信するニュースレター。
発行者はジャーナリストのEmilie Ragusoさん。このバークレー スキャナーを通して数々のジャーナリスト賞を受賞している。社会的にも意義を認められたニュースレターだ。
地域に特化したニュースレターはいくつかある。そのほとんどがニューヨークやロンドンなどの巨大都市をターゲットにしたものが多い。その地域人口は1000万人ぐらいからだろう。
しかし「バークレー スキャナー」がターゲットにしているバークレーという街の人口はわずか11万人。もう地域特化型という言葉レベルが違う。
それは超地域特価型だ。だからこそ、このニュースレターの人気と収益構造を支える仕組みがある。
アメリカのバークレーと言えば名門大学のUCバークレーがあることで有名。数々のノーベル賞受賞者を出した実績のある大学。(ハーバード大学、ケンブリッジ大学に次ぐ世界第3位のノーベル賞受賞者数)
地理的にもシリコンバレーに近いことから、数々のIT業界のスターがこの大学の出身者でもある。そうしたことからIT億万長者から大学への寄付金も多く、それが街の発展にも寄与している。
そうした光の当たる部分はとてもきらびやかなバークレー。しかしその一方で治安の問題が年々深刻化している。地域ごとの貧富の差が激しく、ミリオネアとホームレスが同居している街。
コロナ禍がはじまった年には銃による事件が前年比で大幅に上回ってしまった。そうなるとどうしても住民の治安に対する関心は高まる。
これは「バークレー スキャナー」に掲載されていたある酒屋で起きた銃事件の記事。夕方の4時にスキーマスクを被った犯人が銃を持って酒屋に入り、お金を要求。それを店主が銃で応戦した、と。結果的にDNA鑑定で犯人が突き止められ、捕まった。
記事には淡々と事実が述べられているだけ。
これは勝手な私のイメージだが、映画のワンシーンのようなのがあった気がする。
強盗「(銃を出して)金をよこしな」
店主「(ショットガンを出して)ふざけんなテメーこれでも食らえ!このクソ野郎が!!(Fワード)」
バン!バン!バン!(銃声)
銃が身近にある社会に縁のない私が読むと「これが街の日常なのか?」と思わずにはいられない。だいたい酒場の店主が普通に銃を武装していて、強盗に対して銃で応戦するのがすごい。
それとこの記事の扱いはとても小さい。著者がサッと書いて、サッと記事にしたのが分かる。読者にとっても「よくある事件のひとつ」になっているのだろう。
ここでニュースレター戦略を考える人が読み取るべきことは「街で暮らす人のニーズ」。こんなことが街のどこかで頻発していたら、自衛の意味で知っておきたくなる。
銃や犯罪のほとんど無い社会で暮らしていると理解しにくいが、この街の人々には「バークレー スキャナー」に対する強いニーズがある。
「バークレー スキャナー」には銃の発砲マップがある。街のどこで何発の銃が撃たれたか、を示す地図。
バークレーに引っ越ししたり、物件を探す際には重要な情報になるだろう。
もしこれがアメリカ全土と世界をターゲットにした大手メディアだったら、銃規制の問題をとうとうと語るだけになる。アメリカにおいて銃の問題は大きな政治的なイシューで語ればきりがない。
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