第68回目は、とある音楽ビジネスの分析をテーマにしたニュースレターを取り上げた。
個人でニュースレターの運営に成功している例を毎回ひとつとりあげ、それを徹底的に調べてビジネスモデルの仕組みから、なぜそんなにウケているのか、を独自分析してレポートしている。あなたがクリエイターならとても参考になるはず。
ニュースレターを書き続けることで何かが着いてくる。
きっとどこかで聞いたことがあると思う。「ずっとブログを書いてきたので、本の出版ができました」「毎日欠かさず音声配信やってきたので、こんなに認知されました」とかの話。
ニュースレターは仕組みから定期配信と濃い情報がセットになっていることから、この「何かが着いてくる傾向」がどのメディアよりも強い。
実際に私もニュースレターをはじめたことでいろいろと着いてきたし、ニュースレターを通してつながりのできた人達には心から感謝している。
今回のレポートで取り上げた事例は正にニュースレターを書くことですごいモノが着いてきた話。著者は音楽業界になんのコネもないただのヒップホップファンだった。それが今では、音楽業界のエグゼクティブとのインタビューや仕事の依頼まで獲得するようになった。
ぜひ読んで参考にして欲しい。
レポートの前に2つお知らせ。
ずっと月額600円で運営してきたこの「1万ドル以上を稼ぐ個人ニュースレターを徹底的に分析したらこうなった」は2024年4月10日から980円に値上げする。
ご安心ください。今、有料購読いただいているあなたはずっと600円のまま。4月10日までに購入いただいた方も600円のまま。有料購読をお考えの方はぜひ期日までに購入してください。
これまで超低価格で提供していたのは「みんなのニュースレター」の管理者として収益の源泉をニュースレター配信ではなく、プラットフォーム管理に重きをおいていたため。
しかしここで提示する値段は相場として「みんなのニュースレター」の配信者さん達が参考にされる。つまり「こんだけ記事書いて600円ぽっちかい」と思われてしまっていた。これが配信者さんのご活動の障壁になっていることに気付かされた。
配信者さん達に活躍してもらうことこそが本来の目的。ということで値上げします。今回は980円だが段階的にもう少し値上げをしていく予定。
コンテンツの品質からして月額980円でも対価の何倍もの価値提供はできていると信じている。ここまで英語圏の情報発信を丹念に調べて誰でも実行可能なほどに体系化されたコンテンツって他には無いのだから。
いつも日本時間の月曜の朝に配信していたが次回から火曜日の朝に変更する。
理由はくろますおさんの音声配信で「月曜の朝はいろんなニュースレターが発行される日でレッドオーシャンになっている」と聞いたから。確かにそうだし、こんなことで他の競合ニュースレターに埋もれてメールの開封率が下がるのは避けたい。
なので次からは火曜日の朝です。
ニュースレターの購読者は「交流」によって増える |
|
||
|
今回とりあげたのはTRAPITAL。テーマはヒップホップをはじめとする音楽ビジネスについて。
著者はDan Runcie氏。元はサンフランシスコのIT企業に勤めていた彼はふとしたことから音楽ビジネスに特化したニュースレターを発行し、今では業界のエグゼクティブからコンサル依頼を受けるまでになった。
TRAPITALの購読者数は3.3万人。著者のRuncie氏のXアカウントフォロワー数は3万人。
これまで紹介してきたスゴ腕の運営者達と比較すると明らかに数字の桁が少ない。それでもTRAPITALの売上げや音楽業界内での人気は揺るがない。
これこそがニュースレターのテーマがニッチに特化していても、やり方次第で十分に収益性が成り立つ事例になっている。
TRAPITALの歴史は2018年に当時はまだベータ版でしかなかったサブスタックにニュースレターを開設したのがはじまり。
当時は著者のRuncie氏はIT企業に務める傍らでMediumにブログを書いていた。内容は好きなバスケットボールのことや専門分野でもあるネット広告のことなど。そんな中にDJ Khaledが打ち出したスナップチャットによるプロモーション戦略について書いたのがバズった。
Major 🔑Alert ! Hosting my sneaker collection on @Airbnb. #GODDID #airbnbpartner Book it on https://t.co/gcpWp7rdt0
![]()
DJ KHALED @djkhaled pic.twitter.com/td6axQcHhd— DJ KHALED (@djkhaled) November 21, 2022
「音楽業界にコネが無くても音楽ビジネスの分析記事ならイケる!」と考えたRuncie氏はこのテーマのニュースレターを開設することにした。しかし2018年当時はまだニュースレターの主要プラットフォームが確立していなかった。彼はググってサブスタックという聞いたこともないプラットフォームを見つけた。
それはベータ版でまだ配信者の受け付けをしていなかった。早速サブスタックにメールすると創業者から返信があり、手動でアカウントを開設してもらった。これがTRAPITALのはじまり。
つまりTRAPITALはニュースレターの歴史の最初の頃から入り込んでいたことになる。
TRAPITALが解き明かすアメリカの音楽ビジネスの仕組みは本当に興味深い。
どんな音楽ファンでもただ好きな音楽を聴いているだけのことが多い。その音楽の裏側でどんなビジネスロジックが支えているのか、までは知らない。それを解き明かされるとより一層、音楽マーケットが見えてくるし興味が出てくる。
私はどの記事もむさぼるように読んでしまって、かなりの時間が溶けた。
記事の内容をザっと掴んでいただくために記事タイトルをいくつか抜粋して日本語訳を載せた。
このタイトル一覧を見ただけでも読んでみたいと思ったのではないだろうか。内容はぜひ元のサイトでご確認ください。
優れた音楽アーティストはアートの才能のみならずビジネスセンスにも長けている。これがTRAPITALの打ち出した発想。
TRAPITALの紹介ページに載っているモットーがこれ。
イーロン・マスクから学ぶのと同じようにリアーナからも学ぼう
TRAPITALのコンテンツはビジネス教科書としてすごくよくできている。調査の意識をすっかり忘れてただ没頭して読んでいる時間がたくさんあった。
生き馬の目を抜く厳しいアメリカの音楽業界でトップに抜きん出るのは音楽的才能だけでは不十分。たぐいまれなビジネス戦略も同時に持っていなければならない。
アメリカの音楽ビジネスの手法は極めて斬新で、どんなビジネス分野の方にとっても参考になるだろう。
無料版はここまで。もしあなたが有料購読していなかったとしても、ニュースレターに興味があればぜひTRAPITALを覗いてみることはオススメする。参考になることがとても多い。
以下の有料版ではより深くTRAPITALの成功要因をレポートしている。
有料版の内容
ここから先は有料コンテンツです |
|
この続き:2940文字 / 画像3枚 |