第７５回目は音楽と芸術をテーマにした超人気のニュースレターを取り上げた。その著者のオヤジがある記事でテイラー・スウィフトへの手紙を投稿していた。その冒頭はこんな感じだった

テイラー・スウィフトさん、ちょっとお願いがあります。
あなたは私のことなんて知らないだろうし、私はあなたの父親ほどの歳で、あなたも周りにたくさんいるゴチャゴチャ言ってくる人たちと同じかもしれない。
ただ私はあなたのようなスターではないが、生涯を音楽に捧げてきました。

最初は「なんでテイラー・スウィフトに手紙なんか書いてんだよ」と思ったが、彼のお願いの内容がオモシロ過ぎて一気に読んでしまった。

個人でニュースレターの運営に成功している例を毎回ひとつとりあげ、それを徹底的に調べてビジネスモデルの仕組みから、なぜそんなにウケているのか、を独自分析してレポートしている。あなたがクリエイターならとても参考になるはず。

👫 もくじ

1. ギリシャの観光地はアメリカ人でいっぱい
2. ネテロさんが商品販売したら２０万円もらえた話
3. 【他人のニュースレターを勝手に分析】音楽と芸術をテーマにしたニュースレターの何が人気なのか
4. サブスタックの音楽分野でNo.1のニュースレター
5. 中年のオヤジが芸術のために書いたニュースレター
6. 現代のSNSメディアはゾンビ製造機
7. 実は自分もショート動画でバズってる
8. 芸術の存続に対する危機感
9. オヤジがテイラー・スウィフトへ手紙を送る
10. ジャズの名盤「Kind of Blue」の解説
11. 楽しさの追求はその分野を伸ばす
12. 実は難しい音楽系の文字コンテンツ
13. 面白い文章なんてない。面白い人が書く文章が面白いだけ

🚢 ギリシャの観光地はアメリカ人でいっぱい

今、ギリシャのアテネでこれを書いている。観光地に行くとまわり人たちが話しているのはほぼアメリカ英語。「ここってアメリカか？」と思ってしまった。そして日本人はどこにも居ない。ドルの強さと円の弱さを見せつけられた気がしました。

ネテロさんが商品販売したら２０万円もらえた話

みんなのニュースレターをご利用いただいているネテロさんにこのプラットフォームの事例を音声で紹介していただいた。

ぜひ聴いてみてください。

管理者としては「みんなどんどん使って販売してくれー」と思ってます。

【他人のニュースレターを勝手に分析】音楽と芸術をテーマにしたニュースレターの何が人気なのか

今回とりあげたのはThe Honest Broker。テーマは音楽と芸術全般。

著者はジャズミュージシャンのTed Gioia氏。

ただ単に音楽をテーマにしたニュースレターというだけだったら、ここで取り上げるわけがない。今回、紹介した理由はただひとつ。

極めて特徴的なコンテンツでありながら、ものすごい人気を獲得しているから。

🐸 サブスタックの音楽分野でNo.1のニュースレター

このThe Honest Brokerはアメリカ大手ニュースレタープラットフォームのサブスタックにて音楽分野のNo.1のニュースレターになっている。

２０２４年５月現在の購読者数は１２万７０００人。

１２万以上もの購読者数に至るまでのチャートがこちら。なにかひとつの記事を契機にして伸びているのではない。約３年にわたる運営の中でずっと支持され伸び続けている。しかも直近の伸び率はさらに加速している。

ニュースレターの成長戦略の理想系と言えるだろう。

ビジネスモデルは月に６ドル（約１０００円）の有料コンテンツ。こちらもかなりの有料購読者数がある。

The Honest Brokerの人気も収益性もその辺のニュースレターとは一線を画していることが分かる。

🧑‍🎨 中年のオヤジが芸術のために書いたニュースレター

The Honest Brokerのテーマは「現代の人々が忘れかけた芸術を愛する気持ちをとり戻すこと」。

これだけを聞くと「はぁ？」と思われるかもしれない。著者は中年のオヤジだし、むだに小難しい芸術話なんて聞きたくない、と思うだろう。しかし１度でもGioia氏の記事を読むとやめられない。面白い。これは！と感じさせる何かがある。

Gioia氏がThe Honest Brokerの発刊にあたって書いた記事の中に現代のメディアに対する意見がある。

紙の新聞はもちろんデジタル版も含めて大手全国紙から芸術欄が消え去って何年にもなる。かつては全米にまたがる新聞紙上に「ジャズ特集」「クラシック音楽特集」などが掲載されていた。それが今では音楽専門誌であっても、探すのが難しくなってしまった。
芸術を愛する人たちはこの世から消えてしまったのか？そんなことはない。ただメディアが変わってしまっただけ。
The Honest Brokerは芸術を愛する人たちに向けて書く。もう無くなってしまったからここに書く。

ここに書かれた芸術への思いはThe Honest Brokerの全ての記事に一貫して通じている。

🧟 現代のSNSメディアはゾンビ製造機

Gioia氏が警笛を鳴らしているのがショート動画を中心としたSNSメディア。

TikTokやインスタのReelsのように５秒とか１０秒の短尺動画で一体なにが伝わるのか、と。たくさん消費したとしても、ただ無意味なドーパミンが脳内に発生し続けているだけ。そんなメディアを作って運営している巨大IT企業はそのことを熟知している。だからこそ人の脳内の仕組みを紐解いて、ドーパミンを出してそのメディアから目を逸らさせないように工夫を凝らしている。人をゾンビにするための装置に巨大企業が何億ドルもかけている。

そんなSNSメディアをGioia氏はゾンビ製造機、ドーパミン工場、ジャンキー施設、と言って容赦なく弾劾する。

そんなバカメディアで貴重な時間を浪費しないでThe Honest Brokerで真剣に芸術について考えてみませんか、と。

Gioia氏の語り口はすごく痛快だ。

📽️ 実は自分もショート動画でバズってる

Gioia氏がインタビューで語った内容はインスタのReelsでしっかりバズって２００万再生以上になっている。そしてショート動画コンテンツを批判しておいて、自分のがバズったらしっかり宣伝にも利用している。

「オレ、バズってます！見てください」と。

そしてこのショート動画内でもSNSや音楽大手ストリーミングIT企業を批判していたりして、なんとも滑稽な感じがする。

それでも妙に支持されているのがこのオヤジの強さなのだろう。

🐿️ 芸術の存続に対する危機感

Gioia氏が繰り返しうったえているのは芸術の存続が危ぶまれていること。ある記事内で図で示していたのでここに引用した。

かつては芸術がエンターテイメントに喰われてしまう構図で語られることが多かった。このように。

それが今ではもはやエンターテイメントはおろか、単なる気晴らし（distraction）にまで成り下がってしまった。気晴らしなんかに大切な芸術が喰われてしまっている！

ショート動画などによるSNSになるともう気晴らしですらない。単なる中毒だ（Addiction）。みんな中毒に喰われている。アートの魚を見てくれ。もう見えないぐらいに小さいし、気にもとめてもらってない！

この現状を説明するために様々な事例を引っ張り出して解説している。かなり面白い考察なので興味ある方はぜひ元記事をご覧ください。

無料コンテンツはここまでです。以下の有料コンテンツではこんな内容を書いてます。

• オヤジがテイラー・スウィフトへ手紙を送る
• ジャズの名盤「Kind of Blue」の解説
• 楽しさの追求はその分野を伸ばす
• 実は難しい音楽系の文字コンテンツ
• 面白い文章なんてない。面白い人が書く文章が面白いだけ