第84回目はアメリカの農業をテーマにしてとんでもない収益を稼ぎ出しているニュースレターを取り上げた。
そのニュースレターはとにかく配信している情報の質がすごい。著者には「どうやったらそんなにいい情報を手に入れられるのですか?」と質問されることが度々あるらしい。ポッドキャストでその質問に答えていたのがとても深遠なる内容だった。
個人でニュースレターの運営に成功している例を毎回ひとつとりあげ、それを徹底的に調べてビジネスモデルの仕組みから、なぜそんなにウケているのか、を独自分析してレポートしている。あなたがクリエイターならとても参考になるはず。
ドイツの北、デンマークとの国境に面した北海に行ってきた。夏ですね。
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今回取り上げたのはThe Van Trump Report。テーマは農業と先物取引。
著者はKevin Van Trump氏。
Kevin氏はニュースレターの発行者でかつFarmConという農業向けのカンファレンスの主催者でもある。
Van Trump Reportはめちゃくちゃに儲かっている。そのことを示すエピソードをThe Hustleの創業者のSam Parr氏がとあるポッドキャストで語っていた。The Hustleとはニュースを届けるデイリーニュースレターの草分け的存在で、Sam氏が創設、売却し、今でも巨大ニュースレターとして運営されている。
そのSam氏とKevin氏がはじめてカンファレンスのロビーで出会った時の会話。
Kevin「君はすごい購読者数のニュースレターを運営してるらしいね。購読者は何人いるんだい?」
Sam「ああ、ありがとう。あなたみたいな人にそう言ってもらえて光栄だよ。今の購読者数は100万人を超えたところだね。」
Kevin「そりゃすげーや」
Sam「君もニュースレターやってるの?」
Kevin「そうだよ。規模はだいぶ違うけどね」
Sam「君の購読者数は何人だい?」
Kevin「僕のは3万人ぐらいだね」
Sam「3万人か。いいスタートだよ思うよ。十分すごいよ」
Kevin「その100万人の購読者にはいくら課金しているんだい?」
Sam「全部無料さ。広告で成り立っているモデルだからね。君は課金してるの?いくらなんだい?」
Kevin「月に60ドル(約9500円)だね」
Sam「まーまーいい値段だね。で、有料課金の購読者数は?」
Kevin「さっき言ったように3万人ぐらいだね」
Sam「え?3万人って有料購読者数なのか…(しばらく頭の中で計算して)ちょっと待ってくれ。月に60ドル、かける3万人かける12ヶ月が年商(32億円)ってことか?!何人のスタッフでやってんだよ?」
Kevin「僕ひとりだよ」
Sam「今日このカンファレンスの後、時間ある?ちょっと詳しく話を聞かせてくれ」
こうしてSam氏とKevin氏はつながり、お互いニュースレターと情報発信の世界のトップランナーとして活躍することになったらしい。
Van Trump Reportは日刊で毎日発行されており、その内容は大規模農業にまつわるあらゆる最新事情がKevin氏の語り口で解説されている。
などのことが書かれている。これだけを説明すると「なぜそれが何億円もの収益をあげるんだ?」となると思う。
その理由を理解するにはまず第一にこうした農作物の情報を積極的に集めるターゲット読者について知る必要がある。
農家、特にアメリカの農家はリッチな人が多い。というかリッチでない農家は淘汰されつつある。
あなたは「アメリカの農家」と聞いてどんな人たちをイメージするだろう?きっとこんな感じではないだろうか。
どこか田舎くさくて、お金には無頓着。たまーに農作業をするだけで後はアメリカの田舎によるあるバーでビールを飲んでる。
そんなのはもう映画の中にしか存在しない。だいたいアメリカにおける農業とは広大な土地を使って、最新のドローンで種を蒔く、日本のとは比較ならない規模の経営になっている。土地のデカさから収穫高も桁違いで、そこで動く金額も桁違い。現代のアメリカの農業は規模も内容もシリコンバレーのテック企業に負けず劣らずのテクノロジー経営なのだ。そして意外にこんなことを大都市に住んで、テック企業に勤めるアメリカ人も知らなかったりする。
現代のテクノロジーを駆使した農業経営で残っているのはリッチな農家だけになっている。
農業にたずさわる人たちの話す内容はヘッジファンドマネージャーのそれと同じという。
巨大なお金が動く大規模農業はもう情報ビジネスなのだ。穀物や果物、畜産業などのコモディティの価格は世界のあらゆる事象によって変動する。次に何の価格が上がるのかを誰よりも先に見極めて先手をとった者が莫大な勝利を収める世界。そこでは情報こそが最も高価。
彼らの話し方や話す内容はウォール街のヘッジファンドマネージャーとまったく同じ。住んでいる場所はアメリカの田舎。違いはそこだけで、思考方法とかマインドは完全にビジネスリーダーのそれと同じ。
Van Trump Reportというニュースレターの読者ターゲットは農業ビジネスのリーダーたちになっている。
Van Trump Reportの成功要因のひとつはこの読者ターゲットの設定にある。
まず月に1万円の購読量でも彼らにとっては安い。情報感度の極めて高い人たちにとって、Van Trump Reportクラスの情報が手に入るのならいくらでも払うだろう。
しかもアメリカ国内でも彼らの存在やニーズはそこまで知れ渡っていない。住む場所や人種、政治的イデオロギーでアメリカ社会は分断されてしまっている。同じ国内に同じ言語を話していても、ある人にとってはほとんど存在しないようなことが起こっている。
だいたい日本に日本語で流れてくるアメリカ情報もカリフォルニアやニューヨークなどのアメリカ両海岸に位置する大都市からの情報だけになっている。
そんな中であまり人に知られていないアメリカの大規模農業の経営者に読者ターゲットを絞ったことはVan Trump Reportが独占的な成功を収めた理由のひとつ。
Van Trump Reportのはじまりは創設者のKevin氏の考える情報共有だった。
高校時代の恋人と若くして結婚したKevin氏にはお金がなかった。ほとんど農業しかないようなアメリカの片田舎で育った彼はいつもお金に苦労していた。自分も妻も地元の労働者階級出身。農業がテクノロジーで変わりつつある時代に取り残されそうになっていた。
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