第25号目の今回はシンプルな完全自動のニュースレターを分析した。もしあなたが「ニュースレターとかメルマガといえばこんな感じ」と固定概念を持っていたら、きっとその概念をブッ飛ばしてしまうだろう。
このニュースレターはコンテンツのクリエイター、課金モデルを成り立たせたい人に向けて書いている。
個人でニュースレターの運営に成功している例を毎回ひとつとりあげ、そのコンテンツを徹底的に調べてビジネスモデルの仕組みから、なぜそんなにウケているのか、を独自分析してレポートする。あなたがクリエイターならとても参考になるはず。
これまで数々のすごいニュースレターを分析してきた。かなりやってきたのである程度「すごいニュースレター」のイメージができあがっていた。
それは発行者がそれまでの経験や調査を元によく考えられたコンテンツを配信する。どんな分野であってもそこにしかない情報があり、購読者がついつい課金したくなる。これまでのすごいニュースレターとはどれもがそんな感じだった。
いいニュースレターの発行者は誰もが個性的で、それにふさわしい経歴の持ち主だった。すごく料理の得意なシングルマザーだったり、ひとりで世界の誰も行かないような場所を旅する旅行者だったり、大学の先生だったり。
しかし今回分析したニュースレターはほとんど発行者の顔が見えない。なぜなら完全にプログラムが自動配信しているからだ。
このニュースレターを見た時に頭をガツンと殴られたような衝撃があった。ニュースレターとはかくあるべし、という固定概念があったのを根底からくつがえされた気分だった。
しかしよく考えてみればニュースレターなんてものは「人が欲しい情報をメールで送って課金するもの」。ただそれさえできていればルールなんて何も無い。
今回とりあげたのはUngrabbede。毎日、自動配信で空きドメインを2つ送ってくるニュースレター。作成者はSasan Aghdasiという名の個人開発者。
これは6月2日のUngrabbede。いつもとても短いニュースレター。
真ん中にある2つの黒いボタンが主な情報。
「voiceprint.coとsuffles.ioのドメインが今なら空いていて買えますよ」と。ただそれだけ。こうして毎日、いろんな購入可能なドメインが送られてくる。
収益モデルは読者の誰かがこのボタンを押して購入にいたった際のアフィリエイト。
それ以外は何もないニュースレター。
ドメインとはウェブサイトの場所を指し示す住所のようなもの。例えばyahoo.co.jpとか、google.comとか。インターネットの中で特定のアドレスを示すため、同じドメインは2つとない。あなたがgoogle.comを欲しいと思ったら、現在の所有者から譲ってもらわないと使うことは許されない。
そうなるといいドイメインは取り合いになる。
現代ではシンプルな名前のドメイン名はとても貴重。
.com が管理されだした 1990 年代当初は誰でもわりと普通名詞の短い名前のドメインが自由に取れた。book.com
とかでも。ところが世界中でインターネットが使われだして、.com ドメイン名の貴重な価値が認知されるようになった。あれもこれも一気に取られてしまって、今では普通名詞のドメイン名なんてすごい値段で取り引きされるようになった。
voice.com
は 30 ミリオンドルだった。
ドメインを購入するにはドメインを管理販売しているサイトから行う。
という流れだ。これはいつもプル型のビジネスになっている。
例えば
というようなパターンだ。
このビジネスは常にプル型だった。欲しいと思うお客さんにサイトに来てもらう。
逆にお客さんにいきなり「今、flowers.ioが空いてます。買いませんか?」なんてプッシュしても当たる確率は極めて低い。
しかし世の中には常によさそうなドメイン、面白そうなドメインを探している人達がいる。個人開発者だ。
個人開発者とは会社や組織に属さず、個人でアプリやウェブサイトを開発して発表し、そこでマネタイズまでやる人達。私もそうした活動をしていて、これまでいくつものウェブアプリを開発、発表してきた。
その過程でいくつものドメインの購入と破棄を繰り返してきた。いわばドメイン・ジャンキーだ。
ドメイン・ジャンキーは常にいいドメインを狙っている。中にはいい名前のドメインを取ってから、その後でそれにくっつけるサービスを考える人も居る。
そして同じドメイン・ジャンキー同士で自慢しあったりもする。
「聞いてよ。オレ、*****.comのドメイン所有者なんだよね!」と。
これはBeemerの創業者Lucas Tsiotasのコメント
Gives great inspiration and is the only newsletter that I open immediately 🙌🏼
すげーインスピレーションの源。これは私が唯一のスグに開封するニュースレター
開発者Josh Pigfordのコメント
I swear Ungrabbed is going to bankrupt me
Ungrabbedはマジでオレを破産に追い込むよ
私も彼らがこうしたコメントをする意味が面白いほどよく分かる。
Ungrabbedはニュースレター界の中ではかなり異端だ。とても変わっている。しかしニュースレターは奇をてらっているだけでは成り立たない。
ニッチであってもしっかりニーズと人気が無ければならない。
さらにUngrabbedを自律可能にしているのがその継続性。働いているのはほとんどサーバープログラムで、作者の本人がまったく動かなくても毎日毎日メールが配信される仕組みがある。完全に放置していてもいつの間にか課金されている。
これほどシンプルで強力なニュースレターってなかなか無いな、と感じた。
「ニュースレターのためにいいコンテンツを書かなくては!」とばかり考えがちだ。そんな時は一旦立ち止まって、もっと楽なやり方でそれを実現する方法があるかもしれない、と考えてみてもいいのかもしれない。
今回の分析は以上です。
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「ツイッターで定期的にハズる人はやってるけど、ほとんどの人がやらないこと」という音声配信をツイッタースペースでやった。
ツイッターで100万インプレッションを超えるには必ず必要な本質的なこと。しかもカンタンで誰にでも今ズグできること、という認識。
ぶっちゃけこれをやらないで「どうやったらあたしのツイート伸びるのかな?」なんて悩むのはただの時間のムダと思ってます。
ぜひ聴いてみてください。
そして音声配信のご感想もお願いします。
ネテロさんはweb3、ツイッター、音声配信とあらゆる分野で活躍されている方。つい先日はめちゃくちゃに短い期間でフォロワー数10000人を突破された。今、波にノリまくっている人。そんな人との対談はいろんな有益な情報が出てくると思います。ぜひ聴きに来てください。
ネテロさんのサブスタックはこちらから
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自然体でリラックスしながら話されているようでありながら、本質的なことをポンポン指摘される「よーすけラジオ」は毎回がすごく有益です。
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