第83回目はハマること(没頭すること)をテーマにしたニュースレターをとりあげた。
これほどシンプルでマネがしやすいニュースレターは見たことがない。しかし深く追っていくと、そこにしかない独自性と人の心を掴んで離さない要素に打ちのめされた。
月1回の全編無料公開の回なのでぜひ分析も含めてお楽しみください。
個人でニュースレターの運営に成功している例を毎回ひとつとりあげ、それを徹底的に調べてビジネスモデルの仕組みから、なぜそんなにウケているのか、を独自分析してレポートしている。あなたがクリエイターならとても参考になるはず。
いよいよ決勝戦。ドイツは敗退してしまったけど、ベルリンの街中は巨大なサッカー広告が出てたり、いたる所でチャントが叫ばれていて盛り上がってる。
「みんなのニュースレター」のDiscordサーバーを考えている。ニュースレターや情報発信について意見交換をするコミュニティ。
もうすでにニュースレターを開設している人はもちろん、「これからニュースレターをやってみようかな」とか「情報発信に興味はあるけど、何もしていない」「今は読んでいるだけ」みたいな人向けのコミュニティ。
参加者ごとにチャネルを作って作業報告とかXの投稿のように使ってもらうことを考えている。ゆるーく小さく開始する予定。もちろん無料。
どんな人にとってもニュースレターを毎週配信するのはキツい。でもDiscordにちょろっとコメントするぐらいならカンタンだし、そこで意見交換すればいい情報発信のスタートになるのでは、と考えている。
ただDiscordサーバーを立ててどのぐらいの方に参加いただけるが予想ができていない。ぜひアンケートにお答えください。この結果で方針を考えます。
Discordサーバーが立ち上がったらどうする? |
参加しますよー |
参加するかもしれないねー |
Discordを知らない |
参加しない |
今回とりあげたのはTen Bullets。ビジネス、スポーツ、自己啓発の分野においていかにハマって没頭し、とんでもない成果を出すのかにフォーカスしたニュースレター。
著者は元スポーツ選手にしてデザイナー、クリエイター、起業家のZach Pogrob氏。
以下の画像は全てTen Bulletsからの引用
Ten Bulletsのニュースレターはタイトルの通りに箇条書きが10個ならんでいる。それらは著者のZach氏がその週に集めたX投稿や偉人のひとことなど。全てはハマること(obsession)をテーマにしている。
Zach氏の主張はどのプラットフォームでも常に同じで「ハマること」。これ1発で文字通りハマって継続して、巨大フォロワーを築いている。
インスタのフォロワー数は140万人。
Xのフォロワー数は3万5000人。
どのプラットフォームを見ても投稿内容は同じ。「ハマれ」「ハマるものを見つけろ」と。
以下にTen Bulletsから3つの引用事例を日本語訳を付けて紹介した。
Obsession attracts.
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Zach 🏴 @zachpogrob pic.twitter.com/hBmypkleVh— Zach 🏴 (@zachpogrob) June 30, 2024
没頭は人を引きつける。世界は、情熱、エネルギー、そして自分自身よりも大きな何かへ狂信的に没頭する人を中心に回っている。
見ればわかる。没頭する人は歩かない。そいつは浮遊する。没頭する人は話さない。命令する。
遠くから見ると普通に見えるかもしれない。しかし、近づいてみると、その人の目には稲妻が宿っている。その人の野心は人々を引きつける。その熱意は他人を鼓舞する。そして、エネルギーが多ければ多いほど、戻ってくるエネルギーも多くなる。
Random thoughts:
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Blake Robbins @blakeir
There is no such thing as an overnight success
- Mediatonic, the developer behind Fall Guys released 130 games over 15 years before striking gold with Fall Guys
- @MrBeast uploaded ~120 videos to YouTube before breaking 1,000 subscribers. He now has: 157M subs— Blake Robbins (@blakeir) June 3, 2023
一夜にして成功はない
Mediatonic(ゲーム会社):Fall Guysで大成功を収める15年前から開発者たちは130ものゲームを作ってリリースし続けていた
Mr.Beast(世界一の登録者数を持つYouTuber)最初はわずか1000人の登録者を獲得するため120以上ものビデオをアップロードし続けた。今では1億5700万人登録。
スティーブ・プリフォンテーンはアメリカの伝説的な陸上ランナー
あなたがどんなに懸命に練習しても、それよりも激しく練習する誰かがいる。あなたがどんなに強く望んでいても、それよりもさらに強く望む誰かがいる。
オレが「その誰か」だ。
ー スティーブ・プリフォンテーン
つまりTen Bulletsは毎週ここにあったような熱く没頭するメッセージの入ったX投稿やら画像を10個紹介しているニュースレター。
Ten Bulletsの収益は全てスポンサー広告から。
詳しい収益の詳細は分からないが、購読数などから予想するにそれなりの金額になっていそう。
広告の例はこんな感じ。
ここまでで、Ten Bulletsの概略をご理解いただけたと思う。
以降になぜこのTen Bulletsがシンプルに同じようなことをやっているのにこんなにフォロワーや購読者を獲得し、収益をあげているのかの理由について分析した。
あなたが何かの情報発信をしていたとする。トップクリエイターほどにはウケていなかったとして、その原因は何だとお考えだろう。
ニュースレターでもXの投稿でも、それなりに考えた情報を発信していればそこまで内容が悪くなかったりする。きっといい情報なのだろう。それでもウケているとは言えない。
いい情報でもウケていない原因はほとんどの場合はこれ。
ターゲットの読者はあなたのコンテンツを忘れてしまっているから、だ。
あなたのコンテンツを読んだ時は「いいなー」と思っていた。しかし日々の生活があるし、他にも楽しいこともあるのにいちいちコンテンツのことなどずっと覚えていられないのだ。
ウケてないコンテンツは質がどうこうではなく単に忘れられてしまっている。
Ten Bulletsは忘れさせない。やってることがあまりにもシンプルでかつ特徴的だから。
「ハマれー!」「ハマるものを見つけろー!」と書いたのを10個あげるだけ。それを毎回やってる。ややこしい理屈とか解説はなにもない。読者がこれを思い起こす時の導線もシンプル。
「あー覚えてるよ。いっつも『ハマれ』って言ってるアレだろ」と。
この逆に平均点コンテンツはカンタンに忘れられる。文章はまーまー、内容も別に悪くない、デザインもまーまー、作った人もいい人。そういう全てが平均点のコンテンツはよくある。決して悪くはない。しかし忘れる。尖った個性や特徴がないからだ。
Ten Bulletsはちょっとウザい。いつも同じで暑苦しい。「お前、またそれか」「どうせいつものハマる話だろ」と言いたくなる。
しかし忘れられない。どうしても頭から離せない強烈な個性がある。
この分析のためにTen Bulletsの相当数のコンテンツを読み込んだ。そして伝わったメッセージはただひとつ。「ハマれ」と。ただそれだけ。それ以外には何もない。
これこそがTen Bulletsがウケている理由になっている。どんなコンテンツでも読者に伝わるメッセージは常にひとつだけ。ふたつでは多すぎてブレる。言いたいことは常にひとつ。
コンテンツを作るときにごちゃごちゃと考えてしまってまとまらないことがあると思う。そんな時はTen Bulletsのひとつのメッセージをただ伝え続ける、という方法を見直してみてはいかがだろうか。
Ten Bulletsは「ハマれ」という同じメッセージをたくさんの別の角度から言ってるだけ。これこそがコンテンツの王道と言える。
Ten Bulletsはよくあるニュースレターとは言い難い。だからウケている。
クリエイターがいろいろ調べてウケるために「よくあるニュースレター」にたどりついた瞬間、それはウケなくなる。
どんなものでも平均が最もよくない。平均的なコンテンツには特徴がない、個性がない。多少は荒削りでウザい内容でも特徴を際立たせた方がウケる。
正直に言うとTen Bulletsは私の好みではない。根性論が多くてテクノロジー好きな私としては「これってどうなの?」と思ってしまう部分が多々ある。しかし同時にTen Bulletsがすごくウケる理由も分かる。
現代のネットの世界では10人中10人にウケる必要なんてない。10人中ひとりでもいいから文字通りハマる人を見つけること。そのひとりに深くブッ刺さるコンテンツにすること。そのためには強烈な個性が必要。
そういう強烈な個性だけがこれからの情報発信で生き抜く道になっていることをTen Bulletsは示している。
まったく同じコンテンツでも誰がどの文脈で言うかで、捉え方が変わってくる。
Ten Bulletsの記事に「神は細部に宿る」を引用したのがあった。きっと誰もが聞いたことがある言葉。しかし毎回「ハマれー!」と言ってる人が引用すると言葉の印象が変わる。「え?それもハマることのひとつって意味か!」と。
これと同じ言葉でもデザイナーが言うのとはまた違ってくるだろう。
あなたにはあなたの個性と文脈がある。その上にあるなら同じコンテンツを流用していてもオリジナルなコンテンツになるのだ。個性がありさえすれば。
メッセージが「ハマれ」だし、著者のZach氏のハマり方も強烈。がっつりハマっているZach氏の情報発信はしつこい。ずっと続く。
Ten Bulletsのニュースレターを読んで、インスタをチェックして、Xをフォローすれば、おそらくあなたもこう思うだろう。
「ホントこの人しつこいなー」と。
Zach氏の「ハマれ」活動はいつまでもどこまでも続く。確かに誰にとっても本当にハマることはいいことだ。その対象がスポーツでも勉強でも事業でもハマることはプラスに働く。いいメッセージだと思う。
しかしそんなメッセージ発信をZach氏ほどにしつこくやり続ける奴なんて見たことがない。どこまで声を枯らして言ったところで「ハマれ」だ。よくそんなシンプルなメッセージを何回もいい続けられるな、と感心してしまう。
周りを見渡してみるとこのしつこさを持っていない平均的なクリエイターは多い。
私にも思い当たるし、続けることがいかに大変かも知っている。だからこそZach氏のように狂人的なまでのしつこさを持ち合わせている人の活動をチェックしてみてはいかがだろうか。
Ten Bulletsを購読すれば毎週「ハマれ」「続けろ」と鼓舞されるのだ。なにをやっても続かない、ハマれない人にTen Bulletsはいいカンフル剤になるだろう。なぜならその著者もその通りハマって、しつこく実践して、見事に成功しているのだから。
今回の分析は以上です。
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