第９２回目はあるガン患者さんが病室から書き続けたニュースレター日記を取りあげた。

その著者は２０代のほとんどを病室で過ごし、ちょっと外を散歩することもなく、ただ病気と戦って生きていた。そんな著者が

について書いていた。それは「家族が入れてくれた完璧な香りのコーヒー」「犬がとてもなついてくれること」「ある日の夕焼けが美しいこと」などの小さな喜びと、それに対する感謝の気持ち。

それを読んだのはたくさんのコンテンツから著者の闘病の経緯を知った後だったので「小さな喜び」に心が締めつけられた。文章の最後で問いかけていた。あなたは今、健康でも病気でも誰とどんな小さな喜びを見つけますか？と。

個人でニュースレターの運営に成功している例を毎回ひとつとりあげ、それを徹底的に調べてビジネスモデルの仕組みから、なぜそんなにウケているのか、を独自分析してレポートしている。あなたがクリエイターならとても参考になるはず。

バーデンバーデンはフランスの国境に近い南ドイツの街。２００年前からある美しいカジノや温泉がある保養地だった。

Threadsをちょっとがんばることにした

ほそぼそとThreadsやってます。「みんなのニュースレター」のアクセスの流入元でThreadsの割合がドンドン大きくなっている。おそらく配信者さんのどなたかが運営されているのだと思う。

私のThreadsアカウントはずっと放置していたが、それはダメだな、と。X（旧：ツイッター）とは雰囲気や伸ばし方が全然違う。まだちょっとコツが掴めていないので、Threadsマスターの方でいい情報があればぜひ教えてください。

ポストの埋め込みも実装するようにします。

【他人のニュースレターを勝手に分析】ガン病棟からのニュースレター

。著者はSuleika Jaouadさん。（以降のカタカナ表記はスレイカ）

ニュースレターのタイトルを日本語にすると「スレイカの隔離日記」。アーティストのスレイカさんは２３歳の時に白血病という血液のガンにかかってしまい、２０代のほとんどを病院のベットで過ごすことになる。そのニュースレターは闘病中に病院で書いた日記を元にしたもの。

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🥕 圧倒的な人気のニュースレター

「スレイカの隔離日記」をただの日記ブログ、なんて思ってはいけない。これはどこにでもよくある個人ブログとは異なり圧倒的な人気を保持している。

ニュースレターの購読者数は１８万人。

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著者のスレイカさんのインスタアカウントのフォロワー数は２７万人。

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ニュースレターの記事を元にした本も出版されている。

とにかくスレイカさんと彼女のニュースレターの人気は本物だ。

🧸 ニュースレター日記のはじまり

スレイカさんの日記をネット上に公開する情報発信活動は最初から意図してはじまったものではなかった。

アメリカで大学を卒業したスレイカさんは仕事のキャリアを積むためにパリに向かった。でもなにか体の調子がおかしいことに気が付く。体のあちこちに支障があるし、どんなに寝ても疲れがとれない。病院で診察を受けると医者にこう言われてしまった。

「あなたは白血病で今すぐに治療が必要です。化学療法を行なったとしても生存確率は３５％ぐらいです」

２３歳にして入院生活が始まる。仕事をやめて、アパートを退去し、ずっと病院で治療だけに専念する生活。彼女の２０代のほとんどは、旅行や外食、友人との会合、散歩さえもできない状態で過ごす。目標はただ

そんな中で見つけたひとつの表現手段が日記をつけてそれをネット上で発表することだった。

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📫 ブログ掲載を機にあらゆる人たちから届くメッセージ

スレイカさんの日記はニューヨーク・タイムズのブログとして連載される。

瞬く間に人気コンテンツとなり、多くの読者からメッセージが寄せられる。メッセージの多くは彼女と同じような境遇の人たちからだった。

例えば「ユニーク」という名前の１０代の少女。彼女はスレイカさんと同じ病気でずっと戦っていた。その気持ちを絵文字で埋めつくされた文章で送ってきた。

「ずっと外には出られない」という意味では同じ境遇のテキサスの刑務所に服役中の死刑囚。名前は「リトル・ギャングスタ・クイーン」。とても思慮深いメッセージだった、と。

多くのメッセージに希望を見出し、スレイカさんの日記がさらに発展していく。

🐯 病気を克服しても幸せにはなれない

７年間の病院生活の後、ついにスレイカさんの白血病との戦いが終わり退院することになる。

しかし退院すると生きる目標を何も持たず、ただ放り出された状態になってしまう。病室では「なぜそんなことをしているの？」なんて考える必要はなかった。病室でやっていたことの全てはただ

、という明確な目標があった。病院では死の恐怖と常に隣り合わせに強く生き抜くしなかなった。「なんとかここを抜け出したい」とだけ考えていた。

しかしいざ病室の外に放り出されてしまうと、何もやるべきことがない、恋人もいない、仕事のキャリアと呼べるものもない、目標も何もない。これならあのやるべきことに満たされていた病室に戻りたい、とさえ思ってしまっていた、と言う。

何をすればいいのか分からなかったスレイカさんは１００日間かけてアメリカを横断する旅にでる。

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それは闘病中に書き続けてネットに公開した日記にメッセージをくれた人たちに会うため。前述の１０代の絵文字ティーンエイジャーのユニークやテキサスの刑務所に服役中のリトル・ギャングスタ・クイーン、退職した美術史教授まで、とにかくたくさんの人たちに実際に会いに行って話をした。

そんな旅で様々な体験を終えた後の記事でスレイカさんが書いていたこと。

旅に出たのも出会った人たちも全て本当のこと。こういう話って映画のエンディングみたいでしょう。「そして旅から得たインスピレーションを元に元気にその後の人生を充実して過ごしました」ってね。

これを読んで確かにその通りと思った。そんな話は出来すぎている。

こうした素直で等身大の考えがコンテンツになっていることが「スレイカの隔離日記」に読者が惹きつけられる理由なのだろう。

💪 重病から生還した人をヒーローに仕立てあげてはいけない

スレイカさんは社会はガンなどの重病から生還した人をヒーロー視しがちだけどそれはちょっと違う、と言う。

理由をいくつか挙げて説明されていたので要約した。

重病患者の回復過程はそれほど単純ではない。仮に治療が終わったとしても、スイッチを切るように何かがパッと消えるのではない。むしろ治療後に新たな困難に直面することの方が多い。多くの元患者は身体的・精神的な後遺症に苦しんでしまうことになる。スレイカさん自身、疲労、免疫系の問題、PTSD、再発の恐怖に悩まされた。

「生存者は常に感謝の気持ちを持つべきだ」という社会の期待がある。しかし、これは回復過程で経験する様々な感情（悲しみ、怒り、不安など）を表現することを難しくさせてしまう。不安を隠してニコニコと笑顔を見せて感謝の言葉だけを言っていると精神的に混乱が生じる。

生き残った人は、同じ病棟や周りで亡くなってしまった人々のことを考えて罪悪感を感じることがある。ヒーロー視されることで、この感情はさらに強まることがある。

ヒーロー物語は、回復が直線的で最後にクライマックスを向かえるように描きがち。しかし、現実の回復は多くの浮き沈みを繰り返す複雑なプロセス。誰もがこの現実に向き合わなければならない。

スレイカさんは読者にヒーロー視ではなく、個々人の過程を尊重して欲しい、と訴えていた。

最近幸せな生き方って何だろう…自分の目の前にある幸せに目を向けるのが一番大切なんじゃないか…

って考えることが多かったので、まさにドンピシャな内容でした！！

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