第67回目の今回は「みんなのニュースレター」の今後の方向性について書いた。月に1度の全編無料でお届けする回になる。
通常の有料回では個人でニュースレターの運営に成功している例を毎回ひとつとりあげ、それを徹底的に調べてビジネスモデルの仕組みから、なぜそんなにウケているのか、を独自分析してレポートしている。あなたがクリエイターならとても参考になるはず。
「みんなのニュースレター」はまず第一に配信者さんのためのプラットフォームでなければならない。
Substackで活躍されていた何人かの配信者さんに移行していただいた。ありがたいことに何千人と購読者を抱えている配信者さんにも移行いただいたので、総購読者数はかなりの数になった。だからといって購読者の方ばかりを向いていたのではプラットフォームは自滅する。
素晴らしいコンテンツを作り出すのは配信者さんであり、配信者こそがこのサービスの根幹だから。今後も配信者さんにとって何が重要かに焦点を絞ってプラットフォーム運営を続けていく。
そのためにやることのひとつはより正しいニュースレター運営のノウハウを発信していくことになると思っている。
ニュースレターは企画がなにより重要。それはその通り。しかしそのことによって見落とされていることがある。
この「1万ドル以上を稼ぐ個人サブスクメディアを徹底的に分析したらこうなった」でもニュースレターをはじめる方向けに何度も企画の重要性を訴えてきた。「とにかく企画をしっかり考えてください」と。
ニュースレターはブログと違ってひとつの記事がウケてもあまり意味がない。ニュースレターは購読者を集めることが最初のポイントになっている。なのでひとつの記事がウケることよりも、連続した一連の記事を読んで、それに一貫するテーマや企画性を気に入ってもらうことで購読に結びつく。
企画が重要だからこそ、英語圏で人気のニュースレターを取り上げてそれぞれの企画の素晴らしさを紹介してきた。
しかしそこには大きな落とし穴があることに気が付いてきた。
アメリカですごく人気のスポーツビジネスをテーマにしたニュースレターがある。
スポーツビジネスは他のエンターテイメント産業とはまた異なり、特異性があって、かつ人気が絶えず、これからも伸び続けていく超巨大産業だ。ほとんどのスポーツファンはスポーツに興味があるのであって、そのスポーツの裏側で支えるビジネス構造にまでは興味がない。
そんなニッチに焦点をあてたスポーツビジネスのニュースレターはスポーツ選手や代理人、チームのオーナーや運営に関わる人達にとってバイブルのような存在にまでなっている。まさにニッチで熱いニーズのあるニュースレターのテーマ。そこに目をつけた運営者の手腕はやはり先見の明があったのだろう。
それでこのニュースレターに対して「やっぱり企画が重要だよね」とだけ紹介したのでは、読者に誤った情報を伝える危険性がある。
前述の例で「企画が重要」の感想は「いい企画さえあればニュースレターがウケる」という誤解を招くことがある。
そのスポーツビジネスをテーマにしたニュースレターの著者は無名のアメリカ人青年だ。今ではそのニュースレターを元に億単位で稼いでいるが、数年前まではノースカロライナの自宅でNFLをテレビで観ていただけのスポーツファンでしかなかった。
彼はスポーツだけでなくスポーツビジネスに興味を持ち、毎週にわたって詳細に調査した記事を書き続けた。そして3年以上もそれを続けた。どんな素人でも毎週に詳細なレポートを独自調査していれば、めちゃくちゃに詳しくなる。今ではスポーツ業界のビジネスを学ぶ教科書と呼ばれるほどになった。
この事例に対して「企画が重要だよね」の一言の感想には「継続してやり続けることの重要性」がすっぽり抜け落ちている。
そのスポーツビジネスがテーマのニュースレターの企画自体はカンタンにマネができる。しかし著者が3年に渡って蓄積してきた読者達との信頼関係の構築はカンタンにはマネができない。
「スポーツビジネスをテーマにしたニュースレターがアメリカでウケている」となれば、誰でも同じテーマのニュースレターをやってみればいい。企画さえあればOk、と安易に考えている人達はそうしてやってみればやっと気が付くのかもしれない。同じ企画でもきっと最初は全然ウケない。ウケなくても虎視眈々とやり続けて、発信を続けて、狙い続けるしかない。狙い続けた先にしか購読者の獲得はない。
ウケるニュースレターは企画だけでなく、その企画テーマに一貫性を持たせるだけの継続力が合わさってはじめて可能になる。
「みんなのニュースレター」で配信を開始された方達の中ではマネタイズに苦労されている方がほとんどだ。
先日、「みんなのニュースレター」で配信していただいているネテロさんがすごく面白い有料コミュニティを立ち上げられた。ネテロさんの持ち前のマーケティングセンスでサラっと売上げを作り出された。これは「みんなのニュースレター」の仕組みというよりもネテロさんが培ってこられたセンスによるところが大きい。
ネテロさんの商品はこちらにある。実は私もこの有料コミュニティに入って活用させてもらっている。
「それでお金を稼げるわけないやん...」海辺のネテロの失敗談 |
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こんな例はなかなか無くて、ほとんどの配信者さん達はマネタイズにかなり苦戦されているか、そもそも課金自体を開始されていない。
配信者さん達がマネタイズで足踏みしてしまうのはプラットフォーム管理者の私の情報の伝え方や機能の実装に課題があることを感じている。
今後は配信者向けの情報をより充実させていく。
Substackやbeehiivという英語圏のニュースレタープラットフォームには充実した配信者向け情報が掲載されている。それはニュースレターを配信する方に向けた基本的なノウハウ集。
私はそれを隅から隅まで読んだので「ニュースレターの配信ってこういうのがポイントなのか」ととても勉強になった。しかしほとんどの人はそんなことをしないと思う。なぜならニュースレターを配信する気が無いとまったく面白くない読み物だから。
もしあの内容をここの記事に掲載したら確実に購読者数は下がる。それぐらいに面白くない。超絶に面白くない。
しかしこれからの配信者にとっては極めて重要な情報が詰まっている。そんな配信者向け情報を上手に伝えていきたいと考えているところ。
配信者向け情報の強化の他にも「みんなのニュースレター」が伸びるためにやるべきことがたくさんある。以下にそれらを列挙していく。
「みんなのニュースレター」に入っていただいている各ニュースレターを横断的に閲覧や購読できる機能を強化していく。
購読者数が1000名以上のニュースレターの購読者の重複率はすべて10%以下になっている。つまりAというニュースレターを購読していて、Bも購読している人がそれほど多くない。これはかなりの機会損失が発生していることになる。とにかくできるだけたくさんのニュースレターを購読していただきたい。
Substackには横断的に購読を促す機能がついている。Aを購読した後に「Bの購読もどうですか?」とオススメする機能。これをマネしてより良い購読体験を提供できるようにしたい。
なによりニュースレターを読む人は他のも興味を持つ可能性が高いのだから。
データベースサーバーをいいスペックのに移行する予定。
今はこの準備にちょっと時間がかかっている。これが他の機能追加が後回しになっている原因。でもプラットフォームにとってデータベースは最も重要な要素のひとつ。貴重なデータがストックされているからこそ、いいプラットフォームが成り立つ。これをいい加減なのにしておくことは死活問題にもつながる。
今の段階で「そこまでハイスペックのが必要か?」って思うほどのに移行するつもり。
今のペースで伸びていくとしたら現状のデータベースでは持たないし、どうせ移行するなら、良質なサーバーに移行してその後はスケールアップだけで済ませたい。
なにより日本でNo.1のニュースレタープラットフォームになるには、それにふさわしいデータベースにしておかなければならないのだから。
ネテロさんの有料コミュニティに入って、やはりこれからはコミュニティであることを痛感した。「みんなのニュースレター」でもコミュニティ機能の強化を図っていくつもり。
しかしコミュニティ運営は無料購読者の獲得よりも、有料購読者の獲得よりも、さらに難しい。気軽に「みんなのニュースレター」の配信者さんが手を出して、すぐに頓挫するなんてことがあってはならないので慎重になっている。
おそらくポイントになるのはネテロさんがやっているような、期間限定と1回の買い切りプラン、かなと。
この辺でもしご意見があればぜひお聞かせください。
ありがたいことに続々とすごいコンテンツをお持ちの配信者さん達にご登録いただけている。なのでコンテンツの移行機能を強化しなければいけない。
この個人開発者の話めっちゃ胸が熱くなる
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ジャバ・ザ・ハットリ🇩🇪←🇸🇬←🇯🇵 @nodenodenode1
と、言うかうまたんさんにすげー面白くて濃い情報満載のニュースレターを開始していただけた
もうこのコンテンツは単なるいち読者としてむさぼるように読んでしまうhttps://t.co/6gvJdTEGD1 #みんなのニュースレター via @statistics1012— ジャバ・ザ・ハットリ🇩🇪←🇸🇬←🇯🇵 (@nodenodenode1) March 20, 2024
どんな配信者さんでもプラットフォームの移行はある意味で賭けになるし、「みんなのニュースレター」への移行を決心いただけたことには感謝しかない。
この調子でいけばこれからも移行をご決断する方が増えるだろうし、移行機能を強化しなければいけない。現状の移行機能のユーザー体験がイマイチ。
移行作業は最初の作業でここで「みんなのニュースレター」の第一印象が決まる。この調子だとあんまりいい印象を持ってもらえないので早急に解決したい。
英語圏においてニュースレターはテキスト情報発信のメインストリームになっていて、この流れは必ず日本にも来る。
クリエイターがこのトレンドをいち早く掴んでおくことは後でかなり有利に響くはず。なのでせひニュースレターを配信してみてください。カンタンではないですが、やればやっただけのことはある。
「みんなのニュースレター」の管理者としてはできる限りサポートするつもりです。お待ちしています!
このニュースレターでは常時みなさんからのご意見とご質問を募集しています。この下のコメント欄になんでも入れてください!
今回は全編無料の回でした。いかがでしたでしょうか?購読がまだの方はぜひ購読してください。
購読いただいている方はこれからも応援やコメントお待ちしています!ではまた来週の月曜にお会いしましょう。