user【週刊】1万ドル以上を稼ぐニュースレターを徹底的に分析したらこうなったsearch
意識高い系に水をさす元ジャンキーでケンブリッジ大学博士号を持つ男のニュースレター
【第81号】現代のアメリカの問題を鋭く切り裂くニュースレターを取り上げた。このニュースレターを読む前と読んだ後のあなたは同じではない。そこには読者を変化させるコンテンツがあった。
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ジャバ・ザ・ハットリ
2024/07/02

第81回目はアメリカ文化を鋭く切り裂くニュースレターをとりあげた。その著者はアメリカのある層に超人気。これは著者がポッドキャストで言っていたこと。


実の母とは僕が3歳の時に会ったのが最後だった。最後の記憶は警察の施設の廊下で母と並んで座っていたこと。僕が手にもっていたチョコレートミルクをこぼしてしまって、母に手伝ってもらおうとしたんだ。だけど母はちっとも動かなかった。彼女の手には手錠がはまってたから。僕は泣いてしまったよ。
その数十年後、ケンブリッジ大学で就学してる時に気がついたことがある。ゴミ溜めみたいな環境から出て、9歳の時からドラッグやってた学生はここには僕ひとりだなって。だからこそ僕にだけ見えていることがあるんだ。


彼の言う「僕にだけ見えていること」はとても興味深い内容だった。


個人でニュースレターの運営に成功している例を毎回ひとつとりあげ、それを徹底的に調べてビジネスモデルの仕組みから、なぜそんなにウケているのか、を独自分析してレポートしている。あなたがクリエイターならとても参考になるはず。


👫 もくじ

  1. UEFA EURO 2024
  2. シェアボタンを追加
  3. 【他人のニュースレターを勝手に分析】意識高い系に水をすニュースレター
  4. ネット上での実績
  5. エリートっぽく見せるための主義主張(luxury belief )
  6. 不安定な家庭環境
  7. 初めてまともに接してくれた人
  8. お金持ちの子供だけがあつまる名門大学で感じる違和感
  9. もはやブランド品では豊かさを誇示できない
  10. 被害を被るのはいつも貧困層
  11. 貧困層のアメリカ人男性への危機感
  12. 養護施設へのサポートを訴える
  13. 大手の書店でサイン会ができない?
  14. ネット上では確実に人気を獲得している理由
  15. ハッとしてしまう瞬間がある
  16. 意見を言ってるだけのコンテンツはウケない
  17. 社会を変革しようとする意思
  18. 読む前と読んだ後に変化するニュースレター



🇩🇪 UEFA EURO 2024

UEFA EURO 2024ドイツ開催でどこもかしこも盛り上がってきた。街がサッカーで染まるのも面白い。

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🥝 シェアボタンを追加

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【他人のニュースレターを勝手に分析】意識高い系に水をさすニュースレター

今回とりあげたのはRob Henderson's Newsletter。テーマはアメリカ文化、社会構造、心理学、メディアなど。

著者は養護施設出身で元ジャンキーにしてイエール大学とケンブリッジ大学の心理学博士号を持つRob Henderson氏。

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著者のRob Henderson氏


以下の画像は全てRob Henderson's Newsletterからの引用



🐕 ネット上での実績

Henderson氏の活動の主戦場はニュースレターになっている。

Henderson氏は本も出版してベストセラーになっていて、書籍の方が目立っているように見える。が「実はちょっと違う」らしい。その辺りの事情を後の章で詳しく解説した。

とにかく彼のニュースレターには着実な人気がある。

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購読者数は6万人以上。

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Xアカウントフォロワー数は15万人。

ニューレターのビジネスモデルは有料コンテンツ配信。値段は月に9ドルから。収益は公表されていないが、かなりの額が入っていることは予想できる。

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😎 エリートっぽく見せるための主義主張(luxury belief )

Henderson氏を紹介する上で欠かせない言葉は「luxury belief」。これはアメリカの意識高い系の人たちがエリートっぽく見せるための主義主張のこと。Henderson氏が発明したコンセプト。


I am perhaps most known for pioneering the concept of "luxury beliefs," a term I coined to describe a new way of understanding the American status system.


例えば以下のような主張

  • 多様性こそが大切
  • 国境はもはやいらない
  • 離婚や複数パートナーは個人の自由
  • 全ての薬物は合法化されるべき
  • 警察組織は廃止されても問題ない
  • アメリカ白人はそれだけで優遇されている


これらの主義主張は本気で実現したいとは本人も思っていなかったりする。ただそう言っておくだけで「エリートっぽく見える」から言ってるだけ。この主張による被害はそんなエリート層ではなく、いつも貧困層に響いてくる。

luxury beliefという言葉が広まったのはそうした背景に危機感を抱き、考えを改める人たちが出てきたから。

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🔫 不安定な家庭環境

Henderson氏は幼少の頃からかなり不安定な家庭環境で育っている。

韓国からアメリカに渡った彼の母親はドラッグにおぼれて中毒になった。Henderson氏を産んだが、誰が父親かは分かっていない。彼が3歳の時に虐待の罪で母親は韓国へ強制送還された。そして彼は養護施設に入る。当時のアメリカの養護施設の環境は劣悪で彼は7つの施設を転々とする。7つ目の施設に居た時についに里親が決まる。

養護施設に来る里親も様々。養護施設の子供たちの中でもルックスのいい女の子は、お金持ちの里親に引き取られる傾向がある。彼のようなアジア系の男の子はほとんど貧乏な家に行くことになる。彼のケースもそうだった。

カリフォルニア郊外の小さな街で住民のほとんどが労働者階級のとても貧乏な家に引き取られる。その家に着いて、まもなく里親が離婚してしまう。里親の母はレズビアンとなり女性と一緒に暮らし出すが、発砲事件に巻き込まれて大怪我を負ってしまう。

高校生になった彼はその貧困層の集まる街のほとんどの人と同じ道を歩むことになる。地元の少し年上の仲間たちとドラッグにおぼれるようになる。

17歳で高校卒業を間近にひかえた彼に転機が訪れる。はじめて彼に「マトモに接して話を聞いてくれる人」のおかげだった。



👨‍🏫 初めてまともに接してくれた人

転機となったのはHenderson氏曰く「人生ではじめてまともに接してくれた人」がいたから。その人は高校の進路指導のアドバイザー。

彼は高校生のHenderson氏の話を根気よく聞いてくれる人だった。当時のHenderson氏は学業にまったく専念していないし、やる気もない。それでも「君はなにがしたいのか?」と聞いてくれた。でもHenderson氏にはやりたいことなど分からないし、答えようがなかった。かわりにスポーツの話やゲームの話をしていた。進路に直接には意味のない話だった。でもその進路指導のアドバイザーが話を聞いてくれること、ただそれだけが救いだった。

そんなアドバイザーの彼は元アメリカ軍の退役軍人だった。かつて軍隊で働いていた時の写真を見せてもらった。そこでピンときたHenderson氏は引き込まれるようにアメリカ空軍への志願届を出す。そして17歳にして空軍に入隊する。

学業成績は悪かったHenderson氏だったが元から頭のよさは随所に現れていた。軍役中から準備をして退役軍人用の奨学制度を使って名門イェール大学へ入学する。その後も苦学を重ねてケンブリッジ大学院へ入り心理学の博士号を習得するまでになる。

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🦫 お金持ちの子供だけがあつまる名門大学で感じる違和感

金持ちの子供ばかりが集まっている名門大学の中でHenderson氏のような経歴の学生はひとりもいない。そこで彼は違和感を得ることになる。

アメリカの名門大学の学費は他の国とは比較にならないほど高額になっている。当然ながら入学してくるのは学業成績が極めて優秀でかつ金持ちの家の子供だけ。

彼らは本当の意味で貧困層がどんな生活をして何に苦労しているかを知らない。アメリカ社会はキッパリと分断されている。しかし金持ちの彼らはいかにもマイノリティや貧困層を気にかけているフリをする。

そうした態度を端的に言い表す言葉として「luxury belief」(エリートっぽく見せるための主義主張)が出てきた。

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👛 もはやブランド品では豊かさを誇示できない

モノがあふれる現代ではちょっとしたブランド品を持っているぐらいでは豊かさを誇示できない。

特にヨーロッパやアメリカの大都市では贅沢や豊かさの概念がひと昔前とはガラっと変わっている。ジャラジャラとブランド品をぶらさげて歩いていると、ある種の下品さや軽蔑まで出てきてしまう。

モノで誇示できなくなった豊かさをどのようにアピールのするのか?そこを補うように出てきたのがluxury beliefに代表される主義主張。

「私はこんな考え方を持ってます。(だからイケてるし、エリートなのよ)」と。



🦈 被害を被るのはいつも貧困層

エリートたちがluxury beliefを主張することによって被害を被るのは貧困層だけ、とHenderson氏は主張する。だからこそluxury beliefの弊害を誰もが共有しなければならない、と。

一時期にアフリカ系アメリカ人に対する暴力や差別撤廃に向けた運動が高まり、それをBML(Black Lives Matter)と言って社会現象になっていた。一部の警察による暴力事件に端を発したことから中には「警察組織は廃止されても問題ない」という主張まで出てきた。その主張を支持している層を解析するとほとんどが高級住宅街に住む金持ちだった。

彼らは私設のゲーテッドコミュニティの中に住んでいる。警察組織に頼らなくても私設ガードマンが常にゲートの入り口で警備しているので治安が保たれる。もし本当に警察組織が廃止されると、危険にさらされるのは治安の悪い地区に住まざるを得ない貧困層だけ。

luxury beliefは言ってる方はタダで言える。しかしその被害はまったく別の貧困層が被ることになる。



🍓 貧困層のアメリカ人男性への危機感

Rob Henderson's Newsletterには貧困層のアメリカ人男性への危機感があり、その対策を常に訴えている。

例えばこんなデータを用いて示している。


アメリカでは過去50年間で刑務所に入っている男性の数は4倍以上に増加


刑務所に収容されている人口

  • 日本
    • 45,714 人
  • スペイン
    • 55,095 人
  • ドイツ
    • 56,557 人
  • イタリア
    • 57,320 人
  • フランス
    • 73,080 人
  • アメリカ
    • 1,767,200


データの出典元:World Population Review


各国の人口の違いを考慮したとしても桁違いに突出したアメリカの刑務所人口の多さには構造的な問題が潜んでいる。

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🦖 養護施設へのサポートを訴える

Henderson氏曰く「アメリカの養護施設は最も多くの問題が山積していて、かつ最も日の当たらないところ」。だからこそ彼のような人が支援を訴え続けなければならない。

Henderson氏のような例を挙げて「養護施設の出身でもアメリカという国は努力さえすれば名門大学で博士号を取ることもできる」などと言わないで欲しい、と。

それを大学卒業率のデータを挙げて説明している。


  • アメリカ全体の大学卒業率
    • 38%
  • アフリカ系アメリカ人
    • 26%
  • ヒスパニック系アメリカ人
    • 21%
  • 最貧困層の家庭
    • 11%
  • レズビアン
    • 44%
  • ゲイ
    • 52%
  • 養護施設出身者
    • 3%


どんなマイノリティ、どんな属性よりも最も大学卒業資格を得るのが困難なのが養護施設出身者。養護施設の子供に選挙権はない。だから政治家も動きにくい。あなたやわたしがこの問題に目を向けなければ、誰も解決する人は出てこない。少しでも目を向けて欲しい、と訴えている。


無料コンテンツはここまでです。有料コンテンツでは主になぜHenderson氏のニュースレターが人気なのか、その人気について分析した内容を掲載しました。


有料コンテンツの内容


  • 大手の書店でサイン会ができない?
  • ネット上では確実に人気を獲得している理由
  • ハッとしてしまう瞬間がある
  • 意見を言ってるだけのコンテンツはウケない
  • 社会を変革しようとする意思
  • 読む前と読んだ後に変化するニュースレター