第59回目の今回は英語圏におけるテキストコンテンツのマネタイズについて過去約20年を振り返ってレポートする。
通常回では個人でニュースレターの運営に成功している例を毎回ひとつとりあげ、それを徹底的に調べてビジネスモデルの仕組みから、なぜそんなにウケているのか、を独自分析してレポートしている。あなたがクリエイターならとても参考になるはず。
ネット上の文字コンテンツのマネタイズ方法が過去20年に渡ってどのように変わっていったかを見ていくと、今後の未来が見えてくる。
インターネット上に文字コンテンツを展開するプラットフォームは様々な変様をとげた。古くはブログから最近のニュースレターまで様々なプラットフォームが出てきた。
日本語市場でも同様の動きがあった。そのほとんどのケースが英語圏の動きを後から追いかける形だった。なので今回は主に英語圏の動きについてレポートする。
そもそもなぜプラットフォームがそんなに変わるのか?マネタイズの方法が変わっていくからだ。
多くの人たちが文字コンテンツを最適な方法でお金に変換しようとしてきた。マネタイズの科学はとても難しく、少しの要素で大きく変わるし、同じ手法が永遠に続くことはない。一時期もてはやされていた方法が一瞬にしてダメなものになったりした。
今回の記事ではそんなプラットフォームとマネタイズ方法の移り変わりを見ていく。
2000年代に「ブログ」という言葉が広まり、誰もがネット上に文字コンテンツを発信する流れを作った。それは情報の民主化のさきがけとなった。
ブログ界の主流のひとつは今でもWordPress。カスタマイズ性に優れたフレームワークで誰もがカンタンにブログを開設できるようになった。
その時の主なマネタイズ方法は広告。広告にはGoogleアドセンス広告、アフィリエイト広告などいくつかの種類が出てきた。どの手法をとったとしてもブログの主なマネタイズ方法は広告だった。
WordPressのほとんどのマネタイズ方法は広告を元にしたモデル。
ユーザーがコンテンツを見るためにブログを訪れ、そこに貼り付けている広告をクリック、もしくはその広告を通して商品を購入すると、そのいくらかがクリエイターに還元される。
ブログブームに乗ってこの仕組みは世界中で支持された。コンテンツを消費するユーザーはほぼ無料でコンテンツが閲覧できる。
ブログ運営のポイント
しかしやがて無料であるからこそ問題が算出するようになった。その問題とはクリエイターへのお金の還元率の低さと、コンテンツの質に関するものだった。
アメリカでのMediumというプラットフォームの登場はそのまま文字コンテンツのマネタイズ方法の変革を意味していた。
Mediumとは2012年に登場した文字コンテンツのプラットフォーム。クリエイターのマネタイズへの悩みを解決するコンセプトを持っていた。
当時のブログ界がかかえていたマネタイズの悩み
Mediumはツイッターの創業者でもあるエヴァン・ウィリアムスが作った会社。
Mediumの洗練されたデザインや創業者のカリスマ性など話題になることが多かった。MediumをMediumたらしめる一番のキラーコンテンツはその革新的なマネタイズ方法だった。登場から10年あまりの歴史の中で何度も倒産の危機すらあったが、立派に生き残っている。
Mediumは今でも英語圏の文字コンテンツにおいて主要なプラットフォームであることは確かだ。
Mediumのマネタイズ方法は同社の歴史と共に大きく変様している。それでも常にコンセプトのキーになっているのは広告に頼らない直接課金だった。
創業者のエヴァン・ウィリアムスは広告収入に頼る文字コンテンツに警笛を鳴らしていた。このままでは広告を出す会社に良質コンテンツが駆逐されてしまう、と。そこで生み出されたのがMedium パートナープログラム。
Mediumには様々なクリエイターが書いた良質なコンテンツが多数ある。それを読むことができるのは月に5ドルを課金したユーザーのみ。それぞれの課金ユーザーが読んだ内容、いいねを押した数などMediumが独自に集計したアルゴリズムにしたがって、その収益がクリエイターに還元される。
これが画期的だったのは課金してでも読みたいコンテンツをMediumが集めることに成功し、尚且つブログ広告とは比較にならないほどのお金の還元性をクリエイターにもたらしたこと。
Mediumがリリースされた当初は誰もがMediumが文字コンテンツの救世主になると考えていた。
クリエイターを広告の呪縛から開放するように思われていたMediumだが、新たな問題も出てきた。
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