user【週刊】1万ドル以上を稼ぐニュースレターを徹底的に分析したらこうなったsearch
子育てをテーマにしたニュースレターが年商8600万円になる理由
【第52号】よくあるテーマでも独自の視点を取り入れることで圧倒的な人気を獲得する事例。マーケティングをしないマーケティングが圧勝している
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ジャバ・ザ・ハットリ
2023/12/11

第52回目の今回は子育てをテーマにしたニュースレターを取り上げた。ニュースレター運営でやるべきことは読者への価値提供。今回の事例はそんな基本をしっかり見せてくれる。

このニュースレターはクリエイター、課金モデルを成り立たせたい人に向けて書いている。

個人でニュースレターの運営に成功している例を毎回ひとつとりあげ、それを徹底的に調べてビジネスモデルの仕組みから、なぜそんなにウケているのか、を独自分析してレポートする。あなたがクリエイターならとても参考になるはず。



👫 もくじ

  1. 記事配信の予告で気をつけること
  2. 【他人のニュースレターを勝手に分析】子育て中の両親が気になるデータを提供するニュースレター
  3. 超がつくほどのエリート経歴
  4. 子供が生まれる前から成長するまでをカバー
  5. 子育てに必要なのはデータ
  6. ParentDataのビジネスモデル
  7. 極めてニッチで需要が高い分野
  8. 自分を信じたい気持ちへのカウンター
  9. マーケティングをしないマーケティング
  10. 誰かを助けることがマーケティング
  11. みなさんからのご質問と回答
  12. マシュマロからのご質問1
  13. マシュマロからのご質問2



🥐 記事配信の予告で気をつけること

記事の告知にも読者への価値提供が無ければ振り向いてもらえない。

毎回、記事が配信される2,3日前にX(旧:ツイッター)で告知を行っている。今回の記事ではこんな投稿で予告をした。



投稿のインプレッション数はそこまで伸びていないが、それでもかなりの数の購読者につながった。きっとそれはこの投稿にこめた読者への価値提供にあると思っている。


  • 次回の月曜に参考にしていただける記事を配信する
  • 購読をすれば見逃すことなくメールボックスに記事が届くこと


読者目線で見てメリットが無ければ行動を起こしてもらえない。行動とは購読登録をすること。

とにかくどんなコンテンツ価値提供にフォーカスすることで大きな成果を得ることができる。


今回分析したニュースレターはその価値提供という意味でとても参考になった。



【他人のニュースレターを勝手に分析】子育て中の両親が気になるデータを提供するニュースレター

今回とりあげたのはParentData。テーマは子育て。妊娠する前から、妊娠中、子供が生まれた後、様々な子育てのステージでぶつかる疑問や課題について書かれたニュースレター。

著者はアメリカのアイビーリーグのひとつであるブラウン大学の経済学教授エミリー・オスターさん。

Amazon.de: Emily Oster: books, biography, latest update
著者のエミリー・オスターさん



👨‍🏫 超がつくほどのエリート経歴

著者のエミリーさんは誰が見ても分かるぐらいの超がつくほどのエリート。

ハーバード大学で統計学を学び、経済学の博士号を取得。開発経済学、医療経済学などの分野の研究成果がメディアで注目される。現在、ブラウン大学経済学部教授およびゴールドマン・サックスの経済顧問を勤める。

自身の妊娠出産で検証した客観的なデータを元に発表した著書が注目を集める。

Emily Oster: Why wasn't the US tracking the spread of COVID-19 in schools?  : NPR

彼女の経歴を見て、あなたはこう思っているかもしれない。「有名な経済学の教授が書いたニュースレターだから人気があるのか」と。

それは違う。

読者の立場になって考えてみて欲しい。あなたは「著者が賢そうな超エリートだから購読しよう」と思って購読したニュースレターがあるだろうか。きっと無い。他人の書いたニュースレターなんてよほどの動機がなければ購読しない。エリートが書いたってなると小難しそう、と考えて余計に購読ボタンを押しにくくなる。

ParentDataをよく読んで見れば、人気の秘密はそんな著者の経歴だけではないことが分かってくる。



🐒 子供が生まれる前から成長するまでをカバー

ParentDataが扱うテーマは子育て全般。子育てに関する悩みは、妊娠する前から子供が成長するまでずっと続く。

それぞれのステージに合わせていかにも両親が悩みそうなことを話題に取り上げている。以下に記事の題名をいくつか抜粋した。


  • 親であることで失ってしまうこと
  • 完璧な子育てができないときにやること
  • 子供のやったことの成果とは
  • 不妊治療をする前にパートナーと確認すること
  • ぜんそくを持つ子供との付き合い方
  • 子供の勉強を両親はどのぐらい手伝うのか
  • 子供を持つことと仕事のキャリアの関係
  • いいおもちゃと悪いおもちゃ
  • 保育所に子供を預けること
  • 子供を持つべき?持たないべき?
  • 子供のトイレトレーニング
  • 妊婦さんにとってのアルコールと健康
  • 子供とデジタル機材の関係
  • 子供のメンタルヘルス


おそらくネット上にあふれる数々の子育てコンテンツとほぼ同じに見える。「ある視点」を除けば。



👩‍🍳 子育てに必要なのはデータ

ParentDataの最も顕著な特徴はデータを裏付けに使うところ。おそらく経済学教授という著者のバックグラウンドがあるからだろう。

例えばテーマが「育休をとるべきか?」だったとする。するとエミリーさんはまずデータで検証する。「私は育休を取ってよかった」などと個人体験だけを語るようなことはしない。

育休を取った両親の元に育った子供と、取らなかった両親の元で育った子供の比較。それだけでは終わらない。ただそれだけのデータでは不十分。なぜなら育休を取っても取らなくても両親の状況が異なるとその他の要因が子育てに影響していることがあるから。そのデータに両親の世帯年収をかけ合わせると、また違った側面が見えてくる。

つまり「育休をとるか、とらないか?」という議論にはその世帯年収によって異なる。金持ちの家庭が取る育休と、貧乏な家庭が取る育休とでは意味が違うことがデータから読み取れるのだ。

こうしたデータ解析と解説が興味深く読者がParentDataに惹きつけられる理由になっている。


以下に解説するこのParentDataのビジネスモデル、マーケティング手法、コミュニティのあり方、全ての根っこはこの「子育て×データ」という発想から出発している。

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🦀 ParentDataのビジネスモデル

ParentDataは年間で60万ドル(約8600万円)の収益になっている。数字はプラットフォームのSubstackが公表している。